4.基板の反りについて
これまで微細部品を搭載する実装基板は、大きくても「名刺サイズ」程度である場合が一般的であった。
つまり今、我々が遭遇しているような
「大きいサイズの基板に対して微細部品を使用する」
という懸念はなかったのである。
それもそうであろう。もともと部品を微細化しなければならない理由がスペースの確保であり、それは小さいサイズの基板内にいかにして回路を構成するか、に対する課題であったためだ。
しかし今の現状は違う。「はじめに」で述べたように、「微細部品を使用しなければならない理由」が異なるからだ。
前提が異なっているため、これまでに多くの企業で取り組んできた微細化の検証結果や、多くの有識者が発表した技術論文に書かれている内容は、今の課題に対して直接的な効果となり得ない。
私たちが直面している問題は、新たに発生した課題なのである。特に大きな問題となる(と筆者は予想している)であろう、基板の反りについて一言述べておきたい。
今、あなたの会社における「基板の反りに対する基準」は、いかほどであろうか?
先般、コンサルティングを行っている企業で聞いてみたところ、かなり古い規格をそのまま運用(その規格で市場不良が出ていないため)していたため、基板の反りに対する基準は、
1mm/100mm
とのことであった。
つまり、長手100mmに対して1mmの範囲であれば、基板反りが発生していても合格となるのだ。
「え! そんな基準で大丈夫なの?」と驚かれた読者も多いと思う。もちろん、今までは大丈夫だったのかもしれないが、今後はかなり危険である。これには種々の理由と、長い年月が関係している。
これまで日本経済は、低迷期を辿ってきた(今もそうかもしれないが)。すなわち、日本国内にあった製造工場は、より固定費(人件費)の安い海外へ移転となり、いわゆる損益分岐点を下げて利益を確保してきたのだ。
日本の国内工場についても、高い国内製の部材ではなく、多くは中国や台湾、韓国といった海外の部材によって製品を構成することによりコストダウンを図ってきたのだ。
このような状況の中で、上述したような「基準」が残っているのである。そこへ来て、今回のような事態、つまり先に述べた「新たに発生した課題」が舞い込んできたのである。これまではコストダウン優先で行ってきた活動を、今後は技術レベルの高い課題を含めて行っていく必要が出てきたのだ。
基準の話に戻ろう。微細部品は名刺サイズ程度の基板にしか、採用されることはなかった。しかし現在ではM寸(約200mm四方)のサイズの基板においても、微細部品を使用する可能性が出てきたのである。
先ほどの基準はもとより、たとえば0.1mm/100mmは、大きいのか?、それとも小さいのか?M寸であれば200mmにおいて、その両端の反り量は0.2mm(200μm)まで許容されることになる。
この時…
★ 印刷量(メタルマスク厚)は足りているのか?
★ 印刷品質を保てるか?(特に抜け性)
★ マウント時に部品が届くのか?
★ 届かせるためにマウント時にZ方向に押し込む設定にした場合、部品の破損の危険はないか?
★ リペア可能か? …etc
少し考えただけでも、多くの懸念点が考えられる。このように(くり返しになるが)、「対象のサイズが変わるということは、レベルが変わる」 ということなのだ。
- 会社名
- (一社)実装技術信頼性審査協会、STCソルダリングテクノロジセンター
- 所在地
-
真空リフロー、N2リフロー、エアリフローのことなら、エイテックテクトロン(株)にお任せください。フラックスレス真空リフロー装置販売開始!エイテックテクトロン株式会社
-
アレムコの導電性/熱伝導性接着剤,コーティング材,グリースのことなら(株)エス・エス・アイ株式会社エス・エスアイ
-
独自の加工技術とノウハウで様々な材料にチャレンジ 〜色々なアイデアを生み出して研究者をサポート〜 ムソー工業株式会社 代表取締役 尾針 徹治 氏Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社
-
SEMICON Japan 2023 2023年12月13日(水)〜15日(金)の3日間、東京ビッグサイトにおいて、半導体を中心としたマイクロエレクトロニクスの製造を支える装置/材料産業の総合イベントであるSEMICON Japan 2023が開催された。Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社