2.外観観察で確認できる不具合の種
先に述べたように、微細部品(0603サイズ以下の部品)については部品のカタログスペックだけで採用を決めてはならない。さらにいえば、そのカタログ上の数値を自ら確認知る必要がある、と筆者は考える。
そもそも、電子部品を選定する最初のステップとして、その部品が晒されるであろう「使用環境負荷」を知り、それらの耐性を評価する事で採用に至ることができる。そのために、その製品の品質目標を定め、その製品に搭載される電子部品の信頼性目標値を定めることが重要である。
その上で、その評価環境におけるストレスや品質目標値を「要求仕様書」としてサプライヤに提示することが重要であり、その仕様の通りに製造されているか否か? を、「納入仕様書」や「工場監査」で確認するのである。
さて、本項の本題はここからだ。
基本的には、上述の通りに部品の採用が決定するが、納入仕様の通りに部品が入荷されているのか? を、きちんと確認しているであろうか?
多くの場合、抜き取り検査で特性値のばらつきが、納入仕様と合致しているか?、を確認し、その結果如何によっては必要なタイミングで、定期工程監査や抜き取り部品の試験を行って、入荷したロットが信頼性目標を満たしているかを確認することが重要だ。
ここでは抜き取り検査のすべてを記載することはできないが、代表的な検査方法として「外観検査」を用いることは多い。
それでは図1の観察結果を見てほしい。あるメーカーの0603チップ抵抗である。部品を側面から観察した結果だ。
ただこの画像だけ見せられても気付かない可能性もあるため、図2のように少しガイドを入れてみた。
ガイドを入れてみれば一目瞭然だが、上に示した赤い□の枠が正確な長方形であり、部品横に示した赤↑が直線である。同図の部品は、向かって左斜め上に変形しているのである。
ちなみに計測してみたところ、この部品メーカーの示す部品公差範囲から逸脱した寸法が計測された。
このように「仕様」の上では、問題のないレベルで記載のある電子部品であっても、実際に計測してみると…、問題になりかねない事象は存在するのである。
図3に示す画像もメーカーの示す部品公差範囲から外れている事例である。
これはガイドを付けなくても分かるかもしれない。見ての通り、右側の電極と左側の電極で幅が違うのである。
これも仕様から外れているわけであるが、このような状態の部品を実装した場合、何が起こる可能性があるのか?
左右で電極幅が大きく違うため、リフローの際にチップ立ち不良が起こる可能性があるのである。
はんだぬれ力により、電子部品を基板側へ引張る力が生じる。これは通常起こる現象であるが、電極幅が大きい側の電極では、ぬれ力がさらに大きくなる可能性が大きく、その結果としてチップ立ち不良が起こる可能性が高いのである。
- 会社名
- (一社)実装技術信頼性審査協会、STCソルダリングテクノロジセンター
- 所在地
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