⑥最新機能と技術トレンド(2020年–2026年)
(1) 自動点検・調整ユニット(Dr.パレット)(写真2、図2)
セレクティブはんだ付け装置用の自動調整ユニットで、人が行っていた始業点検の目視確認と微調整を完全自動化。
内蔵のAIカメラやセンサでノズル基準位置を高精度に測定し、装置へWiFi/有線で自動補正。ノズル形状の異常検出により、交換タイミングを最適化。噴流の片流れを自動検査し、はんだ噴流の安定性を確保。検査画像をNASに保存し、トレーサビリティを強化。
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写真2 Dr.パレット(検査・調整中)

図2 装置の点検・調整の自動化
(2) 視覚的トレーサビリティ(Soldering EYE)
“はんだ付けのドライブレコーダ”として、品質保証を強力に支援。常時監視録画・再生ユニットである。
・はんだ付け全STEPを常時録画し、不具合発生瞬間を確実に再現
・STEPと連動し、ワンクリックでターゲット動画が即再生(図3)
・映像エビデンスにより、原因特定の精度とスピードを大幅向上
・動画データはNASへ自動保存し、長期トレースに対応
・装置側のカメラ・生産管理ログ・バーコードリーダと連携して運用
・基板のバーコード/QRコード刻印により、製品単位で像を紐づけ。バーコードがない場合も、手動選択で再生可能。
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図3 Soldering EYE (ワンクリック再生操作)
(3) 新型マルチフローはんだ槽 (SELBOⅢ-350M)
セレクティブはんだ付けは1点ずつ処理するため高品質だが、タクト短縮が常に課題だった。
複数点を同時にはんだ付けするマルチフローノズル技術は従来から存在したが、 噴流安定性や個別条件最適化の難しさから品質面で普及が進まなかった。
当社はこの課題に対し、基板専用ノズルプレートと高精度設計ガイドラインを確立。実験データと熱流体シミュレーション(CAE)を組み合わせ、流速・流向などを可視化し最適化。これにより、従来の弱点だった噴流ばらつきや波高不安定を再現性高く制御できるようになった。
大学との共同研究に基づく実証データを反映し、ガイドラインは継続的にアップデートを実施。結果として、装置は基板仕様に合わせた高品質・高生産のマルチフローノズル(パネル)を短納期で提供可能となった(写真3)。
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写真3 マルチフローノズル(評価ノズルの様子)(複数ノズルで必要箇所を同時はんだ付け)
(4) はんだ検査(AOI)ユニット(SELOBOⅢ-350V)
セレクティブフロー装置の新モジュールとして、フラクサ・プリヒータ・はんだ付けに加え、はんだ付け直後の品質を即時確認できるAOI(はんだ付け外観検査)を開発。
従来のAOI技術を装置モジュールに搭載し、生産ライン内で自動的に検査を完結できる構成とした。前後工程の装置と直結されるため、揺れを最小化する筐体構造を採用。さらに、はんだ付け時のヒュームがレンズや照明に付着しない独自対策を実装し、長期安定運用を実現。
ブリッジ、ボール、異物、浮き、はんだ量などを高速に検出し、不良の最小サイズ0.1mmに対応。高解像度カメラと高性能画像処理PCにより、約30秒で検査完了するタクト性能を確保。
3D撮像にも対応可能で、より高度な立体検査にも拡張できる。詳細仕様(解像度・視野・照明構成など)はカタログを参照。
(5) AOI連携不良自律修正機能(タッチアップ)
新開発のタッチアップ機能は、AOIで取得した不良座標・不良コードを装置内部で解析し、次工程に配置したセレクティブフローモジュールが自動で不良箇所を修理する仕組みである。
検査→修理→履歴管理までをライン内で自己完結できる点が最大の特徴となり、国内初のシステムを開発した。
通常のセレクティブフロー工程ではんだ付けを行いながら、 前工程で不良が検出された場合のみ、追加のタッチアップ動作を自動で行うことが可能である。これにより、従来は人手に依存していた修理工程を、完全自動化された一連の流れとして統合した。
自動修理は無条件で実行されるのではなく、不良多発時にはアラームを発報し、 原因究明のために自動修理を一時停止する運用も選択可能。ライン全体として漏出不良ゼロを目指す品質保証体制を構築できる。
タッチアップ条件はデフォルトパラメータを内蔵しており、基本的に設定作業は不要。一方で、熱容量の大きい部品や耐熱性に注意が必要なエリアでは、 ユーザーが指定した個別パラメータとエリア情報を不良座標と自動照合し、該当箇所のみ条件を切り替えて修理する高度な制御を実現している。
また、生産時に使用するノズルをタッチアップでも併用するため、ノズル特性に応じて最適な修理条件へ自動補正される点も大きな利点である。
さらに、AOIの検査履歴と連動し、修理履歴も一体で記録することで、後工程の品質解析やトレーサビリティ強化にも寄与する。結果として、検査と修理を一体化した“自己完結型”セレクティブフローラインが実現した。
本来、はんだ付け工程の理想形は AOIを最終工程に置くことである。しかしタッチアップを行う以上、AOIを最後にすると修理後の品質保証が成立しない。そこで、リスクが極めて低いセレクティブ(1点)はんだ付けを最終工程に配置する構成が必然となる。
多点同時処理のマルチフローで生産性を確保し、AOIで不良を確実に検出し、最後に1点はんだ付けで確実な修正と最終品質保証を完結させるのが最適解である。
(6) 新予熱方式(IPH):2024年
従来の加熱窒素(N2)による局所予熱に加え、誘導加熱方式(IPH:Induction Pre-Heating)を併用できる機能を搭載している。
IPHは噴流ノズル周囲に配置した磁気コアとコイルにより、熱容量の大きいランドや部品へ効率的に熱を供給し、従来方式で不足しがちな予熱を補完することで、スルーホール上がりの改善にも寄与する。
加熱窒素による酸化抑制効果はそのまま維持され、はんだ品質への影響を抑えながら安定した加熱が可能となる。IPHはポイントごとにOn/Offを選択でき、出力も3段階で調整可能としたことで、基板条件に応じた柔軟な熱制御を実現している。また、微細部品への熱影響を抑えるため、誘導加熱には比較的低めの高周波を採用している。
<追加情報の報告>
誘導加熱に伴う磁界が電子部品へ与える影響についても検証を行い、適切なシールドを施すことで大幅に抑制できることを確認した。
シールド材は、自己発熱分の放熱とシールド効果のバランスを考慮した孔開き板が有効で、開口率約33%で実害が無くなる−15〜−25dBのシールド効果を得られた(例:A1050 アルミ、板厚1.0mm、孔径φ3.5mm、60°千鳥配置)。
板厚が薄すぎるとシールド効果が低下し、開口率が小さすぎると自己発熱が増えるため、設計には最適バランスが求められる。
これらの対策により、熱容量差の大きい部品を含む基板でも、安定したスルーホール上がりと電子部品の安全性を両立できる。
(7) 各種噴流ノズル
<片流れ対策ノズル>
生産現場では、噴流ノズルが経時劣化し、片側に流れが偏る“片流れ”が発生しやすく、定期清掃が必須だった。
自動クリーニング機能だけでは根本解決に至らず、当社は劣化メカニズムを解析し、片流れの発生を当社従来比で約2.5倍延命する新ノズルを開発した。
<ドロス削減ノズル>
さらに、はんだ槽で問題となるドロス発生を大幅に低減するノズルも別途開発し、メンテナンス負荷を大きく削減。
これらの新ノズルにより、噴流安定性・波高再現性・装置稼働率が大幅に向上した。生産品質と保守性を両立する、次世代の噴流ノズルラインアップとして提供している。
- 会社名
- (株)弘輝テック
- 所在地

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