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テクニカルレポート
2025.08.22
人的依存から脱却する部品管理 〜ISMシリーズによる実践的ソリューション〜
JUKI(株)
折原 俊夫

③ソリューション

当社では、上記のような様々な課題をヒアリングさせていただく中で、部品管理工程の改善 ・ 自動化が、顧客業務の最適化、効率化を考える上で避けられないと認識した。そして、簡単、安全かつ、効率的な部品管理工程の自動化を実現する手段として、ISMシリーズをご提案し、多数のお客様への自動化を推進してきた。

 

3.1 JUKIの自動倉庫ISMシリーズの特徴

1.ケースごとハンドリング

部品をケースで管理することで、部品に直接手で触れることがないので部品にストレスを与えることなく、安全に入庫することが可能である。ケースは、大きさや形に合わせて3種類(7インチシングルケース、7インチダブルケース、15インチケース)から選択できる(図1)。

また、ケース高さは最大88 mmまで変更でき、収納物に合わせ高さを変えることで収納スペースの効率化を実現する。さらに、部品の端材や異形部品など、荷姿を問わず様々なものを収納できる他、お客様のご要望に合わせてカスタマイズすることも可能である。

図1 ケース対応(幅広い部品種に対応可能)

 

2.自動一括入出庫

ISMシリーズは、内部に搭載されたロボットハンドリング機構により、最大54リールの部品を一括で自動入出庫することが可能である。ユーザーがピッキングリストを指定するだけで、対象部品をロボットが自動で選定・搬送し、最適な順序で入出庫を実行する(図2)。

この一括処理により、作業者が倉庫内を移動しながらリールを手動でピッキングする必要がなくなり、人的作業負荷を大幅に軽減。また、入出庫動作は完全自動で進行するため、その間に作業者は他の業務(段取り準備など)に従事でき、作業の並行化によるトータルスループットの向上が期待できる。

図2 自動一括入出庫

 

3.システム連携

基幹システムと連携することで、適正在庫管理による部品発注タイミングのお知らせや、X線カウンタとの連携による高精度な数量管理を実現(図3)、棚卸しの工数削減が可能となった。また、現場にある部品の使用可能数を正確に把握することで、他機種へのスライド使用(共通部品の流用)や、部品が不足する前の計画的な出庫が可能となり、最適な部品の払い出しを実現する。

図3 システム連携イメージ(様々なシステムとの連携が可能)

 

 4.簡単なレイアウト変更

コンパクトな自動倉庫のため移設が簡単に行える。また大倉庫 ・ 中間倉庫など様々な用途で使用可能で、フレキシブルな生産工程を実現する。

 

5.湿度管理

オプションの除湿ユニットを取り付けることにより、湿度のコントロールが可能である。湿度管理が必要な製品に対し、常に安心・安全な保管ができる。いつ入庫されたのか、出庫されたのか、部品を取り出した時間まで正確に管理ができ、トレーサビリティを求められる場合にも対応が可能である。その他、湿度のモニタリングやフロアライフのシステム管理も可能である。

 

6.省スペース

一般的なスチール棚では手の届かないスペースがデッドスペースになりやすい。ISM3600は、横幅2,533×奥行1,673×高さ2,453mmの筐体内に最大3,600本のリールを効率的に収納でき、部品倉庫スペースが大幅に削減。

 

7.フリーロケーション

一般的な倉庫作業では、決まった保管場所に必ず戻す「固定ロケーション管理」が主流であったため、収納場所を覚える・探すといった負担があった。ISMシリーズは空いている場所に自動配置する「フリーロケーション管理」を採用しており、作業者は収納場所を意識せずスムーズに作業できる。フリーロケーション管理をすることで、スペースに空きが発生することなく、無駄のないスペース効率化に寄与する。

 

8.外棚管理オプション

新しい設備システムを導入した時に、既存資産が無駄になるというケースが発生することを懸念する方もいらっしゃるのではないだろうか。当社のISMシリーズでは、ISMに入りきらない部品も、既存棚や防湿庫はそのまま使用しながらシステムによる一元管理が可能である。またスマートフォンでの入出庫管理や防湿庫収納部品のフロアライフ管理にも対応し、既存資産を有効活用したスモールスタートや棚を無駄にしないサステナブルな運用が実現できる。

 

9.トレーサビリティ

ISMシステムは、部品をリール単位で管理することにより、受け入れ日、生産工程での使用数、現在の残数、保管場所、使用完了時期などを詳細に把握することが可能である。また、同一ロットのリールも識別できるため、不良部品が使用された生産工程や、製品の追跡も容易である。不良部品が発生した際には、その影響範囲まで正確に把握することができ、高度化とリスクの最小化を実現する。

会社名
JUKI(株)
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