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テクニカルレポート
2013.12.10
トヨタ自動車デザイン部におけるデジタルマニュファクチャリング①
武藤技術研究所、豊橋技術科学大学

1970年代の後半になるとコンピュータが導入され、デザイン・試作部門で用いられたCADのことを『デザインCADDesign CAD)』と称した。当時の一般的な自動車デザインの主要工程を図5に示す。

5 従来のデザイン工程

まず、クレイモデルの測定データをデザインCADに渡す。次に、3次元グラフィックス上で、デザイナーの意図したモデル形状作成を行うため、キャラクタライン、面創成、フェアリング(形を整えること)を重ねる。そして、デザイン部門の3次元ソリッドCADCAECAMCATNetworkシステムでモデル作成したデータを基にして、同時5軸制御のNC工作機械で1分の1クレイモデルを作成する。

5.デザイン情報のデジタル化

 デザイナーのもつ感性や経験値によるアナログ情報を、CADを用いてデジタル情報にすることにより、クレイモデルレスも実現でき、後工程の作業能率や精度はきわめて向上する(デジタルマニュファクチャリング)。

 デザイン部門で作成したモデル形状データは、次工程の製品設計、金型加工、製品検査など……どの部門であっても使えるようなデータであることが望ましい。これを『データの一元化』または『PLMデータベース(Product Lifecycle Management Data Base)』という。

 現在では,3次元CADによるデザインが積極的に行われている。例えば、スタイリングデザインからエクステリアボディーまでの各部品の基本形状作成の際の面データのスムージング作業(ハイライトおよび曲率変化を滑らかにする。デザイナの美的要求の1つ)では、人間の持つ感性基準(アナログ量)から、数値基準(デジタル量)に置き換えられて作業が行われるようになった。

 デジタル情報を基準としたデザインCADによるプロセスを概観すると、図6に示すようになる。

6 デザイン開発におけるデジタルマニュファクチャリング化(トヨタ自動車提供)

 図6の横軸は時間を示し、コンセプト段階、アイデアの具現化と立体化の段階と進む。縦軸は作業を示し,CASCADCAMの各工程の階段を下るように進む。

 ここで注目しておきたいことは、デザイン内部で、デザインに関する複数の作業が並列化され、分散作業が進められることで、全体の効率が非常に良くなることである。

 例えば、並列作業の際、デザインと設計部門との間で食い違いやミスがないように、関係者合同でミーティングが行われる。すなわち、これが先述のコンカレントエンジニアリングである。


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