図4に示すように、最終クレイモデルを完成させていく。モデルはレクサスLS460である。現在、この工程のリードタイムは大分短縮されている。
図4 クレイモデルの外形形状の仕上げ風景(トヨタ自動車(株)提供)
また後工程にデータを渡すうえでも、高精度化が進んでいる。後述するが、これまでの平面の接続条件は接線連続(G1連続)から曲率連続(G2連続)となり、CADの寸法精度は1/100mmから1/1000mmまで高められた。※G1、G2は曲線の連続性を示す用語
2.デジタルモックアップ
図5 非接触光学式の3点測量方式の計測装置を用いたクレイモデル外形形状の測定
さて、仕上げられたクレイモデルは、図52)に示すように片持ち型の3次元測定機で測定され、測定データはスタイルCADにフィードバックされ、面データをファインチューニングするサイクルを何度か繰り返される。
また、非接触光学式の3点測量方式の計測装置を用いて、完成したクレイモデルの外形形状を測定している。非接触光学式の多くはレーザ光を用いた三角測量法で、モデルに投影したレーザの反射光を2つのCCDカメラで取得して、3次元のモデル形状を測定する仕組みである。こうした測定処理技術をCAT(Computer Aided Testing:コンピュータ支援による検査評価)という。こうして計測したCATデータと先に述べたスタイルCADデータを比較し、必要に応じて修正を加え、デザイン部としての車の形状モデルを固めていく。こうしたデザイン評価をリエンジニアリング(Re-engineering)技術という。
このようにビッツのクレーの外形形状を計測・評価したことでこうしたCATによる測定データはリエンジニアリング用のソフト、たとえばICEM-SURFなどを用いて、デザイン部における先行CAD作業にフィードバックされる。
図62)は、上述したCATデータに基づいたスタイルCADによるデジタルモックアップの事例である。モデルは初代のアルテッアである。同図(a)は、デザイン評価およびリエンジニアリング用のソフトICEM-SURFを用いて、図5で得られたCATの点群データを取り込み、のエクステリアルボディ及びキャラクタライン、そして角100mmの番線とを重ねて表示したものである。
図6 スタイルCADによるデジタルモックアップの事例
次に、完成したクレイモデルから3次元ディジタイズして得られた点群データ、すなわちCATデータをスタイルCADに取り込んで、面を貼る。図6(b)は、その面貼り表示、つまりモデル表面を卵の殻のように表したシェーディング表示させている。デザイン評価のために原寸(1/1の現物)サイズのデジタルデータでできあがったヴァーチャルクレイモデルを作成する。
3次元化されたデータは全体のヴァーチャル・モデル・チェック、たとえば、上述した1/1000の精度のチェックなどが丹念に行われる。
- 会社名
- 豊橋技術科学大学・武藤研究所
- 所在地
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