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テクニカルレポート
2018.11.30
シリーズ・さまざまな研究所を巡る(第1回)
JAXAの宇宙太陽光発電
厚木エレクトロニクス

 

5. デブリ対策

 

 宇宙には、これまでに打ち上げたロケットや人工衛星の破片などが高速(銃弾より高速)で地球を回っている。これをスペースデブリと呼んでおり、SSPSに衝突すると大変である。一部の発電素子やアンテナにデブリが衝突した場合は、後に取り換えられるような設計にしておき、重要な心臓部のみ完全なデブリ対策を行うため、軽くて強固な炭素繊維などが検討されている。

 

6. 波及効果

 

 マイクロ波の電力伝送技術は、いろいろなところに応用されそうである。たとえば、海上の風力発電などで陸へ電力を送る場合には、海底ケーブルが不要となる。離島や山頂に電力を送ることもできる。またドローンや飛行機のように飛んでいるものに電力を送ることもできる。最近は電気飛行機などが話題になっているが、重い電池を積まなくても地上から電力が送れれば好都合である。

 

7. 期待される成果

 

 福島原子力発電所の事故以来、将来のエネルギー供給に対する関心が深まり、温暖化対策の炭酸ガス排出規制もあって化石燃料への依存ができなくなるので、総合的に有効なエネルギー対策が重要となっている。政府の発表しているエネルギー施策も、自然エネルギーを利用といいながら、実際は化石燃料に頼っている。そこで「SSPSの登場」といいたいが、まだ検討事項があまりにも多くて、エネルギー問題解決の俎上に載っていない。そのため、予算的にもあまり力が入っているとはいいがたい。そこで、筆者は無責任なロードマップを考えてみた(図7)。

 

 まず、政府や世間一般の人に関心をもってもらうために、1MW程度の実験機を10年以内に静止軌道へ打ち上げることを提案したい。これが成功すれば、世間一般の強力なサポートが得られることになる。

 核融合発電は数十年検討してもまだ見通しが立たないと言う大失敗であるが、これを教訓として、SSPSもしっかりしたロードマップに則って遂行することが重要で、技術だけでなくマネジメントが問われていると感じる。 せっかく日本が世界をリードしている技術なので、なんとか成功していただきたいと切に思う。関係者のご努力に期待する。

会社名
厚木エレクトロニクス
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