資源を活用して地球を守る
エネルギー自給率がわずか2%であったデンマークは、その努力によって今やエネルギー自給率は130%までになった。風力発電が占める割合は約15%である。日本も努力によって可能性に挑む必要がある。
さらに福島原発事故を契機に多くの国が原発依存度をさげる方向で、再生可能エネルギーへシフトする方向となってきている。日本は再生可能エネルギーへの取り組みは遅れている。猶予はない状況である。急がなければならない。
エネルギーの地産地消の取り組みとしての再生可能エネルギーの一つとして、未利用の渓流や農業用水路などに流れる水の力を利用するマイクロ水力発電、放置された森林の森林資源を活用したバイオマス発電、木質ペレットによる熱源エネルギーの利用など多くの取り組みの事例がある。以下に、その身近な取り組み事例を紹介する。
写真2 米国ハリス社製水力発電機
写真3 バッテリーと配電盤
写真4 データ収集
1.マイクロ水力発電
渓流に流れる沢の水の力を使ってのマイクロ水力発電を実践してもう20年になる、奥多摩の三条の湯の山小屋がある。発電システムの概要は、集めた水をドラム缶に貯め、落差約20メートルで距離約200メートルの間を3インチのポリエチレンパイプを敷設し、水のエネルギーで水車を回し直流24ボルトの電気を発電している13)。
その24ボルトの電気をインバーターで交流100ボルトに変換し小屋の電力源として使い、余剰電力はバッテリーに貯え電気使用量の多い時に備えている(写真2?4)。
三条の湯の山小屋は、1990年より神奈川工科大学の鳥居・森両教授の指導のもと、沢の水を利用したマイクロ水力発電に取り組んでおり、初期の発電機では200ワットの発電量であったという。神奈川工科大学の森研究室の最近の研究内容は、
①山岳地域におけるマイクロ水力発電システムの実用化研究
②太陽光発電システムにおけるMPPT制御に関する検討
③太陽光発電におけるバッテリ過充電時の余剰電力有効利用制御に関する基礎的検討
などを対象としている。
三条の湯の山小屋でもこの研究に協力しており、毎月収集されたマイクロ水力発電に関するデータは電子メールで研究室に送られ、研究室で解析されている。
現在は、発電効率の良い機械に順次換えられており、2006年には約400ワット発電できる三代目の発電機を導入し、2基あるため、800ワットの発電量となっている。2基の発電機の内、1基はトイレ用で、もう1基は山小屋の電灯、温泉の加熱用、冷蔵庫、調理器具などに使用されている。
10数年安定した電気を発電できるようになったため、電気を使ったバイオトイレも導入されている。このトイレは東京都の間伐材の檜を採用しており、檜の香ばしい匂いがするトイレである。
自然エネルギーの中でマイクロ水力発電機による電気エネルギーを得ることの利点は、太陽光発電や風力発電と比較して、沢に流れる水さえあれば、風がなくても夜でも発電が可能であるといった点にある。
- 会社名
- NPO法人 日本環境技術推進機構 横浜支部
- 所在地
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