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テクニカルレポート
2016.07.07
『地球環境』を守るための施策を探る
NPO法人 日本環境技術推進機構 横浜支部

 

  2011年7月1日付け官報にて改正RoHS指令(2011/65/EU)が公布され、改正RoHS指令は公布から20日後の2011年7月21日に施行された。

 改正RoHS指令が決着されまでに紆余曲折があったが、追加する物質はなく、今まで通りの6物質のままとなった。そして、以下の点が改正案に新たに盛り込まれて決定した。

 ①改正RoHS指令が2011年7月にEU官報で公布されたので各加盟国は、遅くとも18カ月後の2013年1月2日までに改正RoHS指令 (2011/65/EU)を加盟国は国内法化する必要がある
 ②改訂前の旧指令 (2002/95/EC)は2013年1月3日以降、新指令 (2011/65/EU)に置き換わり廃止される (それまでは2002/95/ECが有効である)
 ③対象製品が拡大され、医療機器(カテゴリー8)、監視及び制御機器(カテゴリー9)がRoHS指令の対象に組み込まれた
 ④医療機器は法施行3年後の2014年7月22日以降に上市するものから適用される
 ⑤医療機器の中で体外診断用医療機器は法施行5年後の2016年7月22日以降に上市するものから適用される
 ⑥監視及び制御機器は法施行3年後の2014年7月22日以降に上市するものから適用され、産業用監視及び制御機器は法施行6年後の2017年7月22日以降に上市するものから適用される
 ⑦カテゴリー8&9用の適用除外用途リストが規定され、最大有効期限(7年)も合わせて規定された 
 ⑧今までカテゴリー1?10までに含まれない電気・電子機器をカテゴリー11で対象とし、法施行後の8年後の2019年7月22日以降に上市するものから適用される
 ⑨禁止物質はこれまでと同様に6物質が規定され、3年後を目処に追加物質が検討される(最優先物質の4物質が候補となりうる可能性が大)
 ⑩RoHS指令適合製品は2013年1月3日以降に上市する製品にはCEマーキング貼付、適合宣言書及び技術文書の作成・保管が義務付けられ、書類は10年間の保管義務が発生する

 以上の改正点に関して適用される日程を体系化すると表1のようになる。

 EUのRoHS指令は、このように改定されたが、RoHS指令は日本のみならず米国、アルゼンチン、トルコ、インド、タイ、ウクライナ、ベトナム、メキシコなどへと少なからず影響を及ぼし、包装指令や自動車廃棄指令 (ELV指令)から始まった4物質(『鉛』『水銀』『カドミウム』『六価クロム』)の使用制限はRoHS指令で新たに2物質の特定臭素系難燃剤(PBB、PBDE)を加えて6物質となり、これが世界のデファクトスタンダードのように扱われてきていると言っても良いのではないかと思う。

表1 改正RoHS指令の適用時期一覧

2.中国版RoHS

 中国版RoHSはEUのRoHS指令や日本のJ-MOSSのマークなどを参考にして策定されたが運用面で異なっており、必ずしも同じではない。その後、一部、対象製品などに関しては中国版RoHSも改訂され、EUのRoHS指令に近づけている点である。

 中国版RoHSの第一段階は6物質の有害物質がたとえ含有していても、使用を禁止するのではなく、含有マークを表示すれば販売することが可能とするもので、マークの表示義務を定めたものであった。有害物質が含有していれば『含有マーク』を、含有していなければ『非含有マーク』のどちらかを表示することが必要であった。

 中国版RoHS規制はEUのRoHS指令と同じ物質が規制対象になっているが、正確にいえば有害物質は7物質となる。『鉛』『水銀』『カドミウム』『六価クロム』『PBB』『PBDE』の6物質は同じだが、中国版RoHSは、この6物質に加え、当局が指定する物質という規定があるため、もし、新たに物質が指定されれば7物質あるいは7物質群となる。

 当局が指定するといわれる7物質目以降はまだ決まっていないので、現在のところEUのRoHS指令と同等の物質が使用制限となっている。

 閾値も、EUのRoHS指令と同じ扱いであり、カドミウムが100ppm、他の物質が1,000ppmという点では同じ扱いである。

 しかし、EUのRoHS指令には適用除外規定があり、たとえば高温はんだなどは適用除外項目となっているが、中国版RoHSには、この適用除外規定が存在しない。従って、注意が必要なのは、EUのRoHS指令の除外規定で仮に高温用はんだに鉛が使用できると解釈して、EUのRoHS指令に適合していると判断し、中味を吟味しないで、『非含有マーク』を貼付すると誤った取り扱いとなる。

 中国版RoHSを適用する場合には、EUと異なり、閾値以上の鉛が含有しているために有害物質の『非含有マーク』ではなく、『含有マーク』の貼付が必要となる。

 中国版RoHSの第二段階は、対象品目録(重点管理目録)が発行され、強制認証の対象とするものです。重点管理目録に関する手順については、2008年10月9日に制定し、2009年9月29日になって重点管理目録の第1バッチが公示され、『移動用端末』、『電話機』、『コンピュータ用プリンタ』の3機種が対象となり、重点管理目録にリストされるとCCCの強制認証が実施されることになる。しかし、その具体的な動きがまだ見えない。

 上記の流れとは別に、2010年5月24日に工業情報化部から、中国RoHSの非含有の自主認証に関する『国家統一推進の電子情報製品汚染制御自主認証実施に関する意見』が公示された。

 そして、2011年8月25日に中国の国家認証認可監督管理委員会と工業情報化部は、『国家が統一的に推進する電子情報製品による汚染の抑制を目的とした自主認証制度に関する実施規則』と対象製品リストとなる『目録(第1回)』を公布した。

 対象製品の概要は表2の通りとなっており、中国強制製品認証制度(CCC)、中国質量認証中心(CQC)による自主認証制度は2011年11月1日より実施されている5)?9)。

表2 自主認証制度の対象製品リスト

   認証方式には、方式1?方式4まであり、材料、部品などは方式1で、部品では方式2、組み立てユニット、完成品は方式3、全製品に対して方式4であり、おのおの実施される仕組みとなっている。方式4を選択するとサンプル抽出による試験、初回工場検査、認証後のサベーランスなどを実施するとなっている。

 

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