『カメラ方式タッチパネル』と『電磁誘導方式圧力分布センサ』という独自技術を開発した株式会社シロク。二つのコアとなる技術を柱に、ユーザーインタフェースといった幅広い分野で事業展開する同社の概要と技術/製品について、代表取締役 小川 保二 氏にお話しを伺った。
■御社の概要についてお聞かせ下さい
小川:当社は、2001年の2月に有限会社シロクという社名で茨城県つくば市に設立しました。社名の由来は、起業した場所でもある「つくば」という土地にちなんだ名前をつけようということで、「四六のガマ」から取っています。
翌年の2002年には、資本金の増資と組織変更を行い、社名が現在の株式会社シロクになりました。設立当初は、私を含め3名だった従業員も現在では12名となり、そのほかに、筑波大学などから臨時で学生のアルバイトにも来てもらったりしています。
起業の経緯としては、私自身コンピュータのソフトウエア関連の仕事をしていたのですが、ワールドワイドで展開できるビジネスを考えるとソフトウエアではなかなか難しいと考え、ハードウエアから周辺機器まで手を伸ばし、最終的にタッチパネルにたどり着きました。ここで、画期的なカメラ方式のタッチパネルの開発に成功したのがきっかけとなり、この技術をビジネスにしていこうということになりました。ただ、会社自体としてはタッチパネルに限定されることなく、ユーザーインタフェースといった幅広い分野で事業展開を行っています。
業務内容としては、基本がファブレス企業のため、開発/販売がメインとなっています。製造に関しては、茨城県内にある大手メーカーのグループ会社となる製造工場と、同じく県内の福祉工場を中心に委託しています。
海外については、昨年台湾にシロク台湾という現地法人を設立し、主にPC用のタッチパネルを中心に事業展開を行い、製造に関しても現地で行っています。
■御社のコアとなる技術についてお聞かせ下さい
小川:当社のコア技術は、大きく分けて『カメラ方式タッチパネル』と『電磁誘導方式圧力分布センサ』の二つがあります。
設立当初からの技術である『カメラ方式タッチパネル』の基本原理は、上部両端の2台のCMOSカメラを利用した三角測量方式を採用しています。暗所でも対応できるようカメラ内部に赤外発光のLEDを組み込み、パネルの周囲には再帰反射枠を設けているため、効率的かつ高精度に座標を検出できます。カメラを採用することにより、大きければ大きいほど優位性をもつので、当初は、50インチ以上のプラズマディスプレイや電子黒板といった大型画面への取り付けを対象に技術開発を進めていました。
しかし、マルチタッチのPCが世に現れ、このタイプのPCのタッチパネルについてもカメラ方式が主流となってきたため、小型画面に対応する技術についても開発を進めています。大型だけでなく、小型でも需要は出てくると予想していましたが、PC市場で主流になるという動きは予想以上に早い展開だったので、当社としてもこの動きに対応すべく、急ピッチに行っています。
もう一つのコア技術となる『電磁誘導方式圧力分布センサ』は、『カメラ方式タッチパネル』の技術開発を進めている中で生まれた技術になります。
当社の『カメラ方式タッチパネル』は、画面に2本の指で拡大や縮小などの指示を行いますが、お客様からは、2本の指ではなく10本くらいで指示が行えるような製品はできないのかといったニーズが多く寄せられていました。このニーズに対応するためには、画面全体が圧力分布を検出できるような構造が理想だと考えたのです。
これがきっかけとなり、圧力分布センサに興味をもって色々と調べてみると、感圧抵抗方式や静電容量方式を採用した製品というものはすでに存在していました。当社としては、R(抵抗)とC(コンデンサ)の変化で取れるなら、L(インダクタンス)の変化でも取れるのではないかという発想で、コイルを使った電磁誘電方式にチャレンジし、技術開発に成功しました。
ただ、残念ながら現時点では、透明の製品化には繋げられていないため、当初目的としていたディスプレイの上にのせて使用することはできていません。しかし、医療やセキュリティといった分野には使用できるので、現状では、そちらの分野で事業展開しています。
また、『電磁誘導方式圧力分布センサ』の開発については、財団法人機械振興協会が創設した第5回(平成19年度)新機械振興賞の『中小企業庁長官賞』を受賞しています。
- 会社名
- 株式会社シロク
- 所在地
- 茨城県つくば市
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