ビジネスコミュニケーションを加速する
BtoB ニュース専門サイト | ビジコムポスト

スペシャルインタビュー
2022.07.01
様々なニーズから本当に必要とされるロボットづくりを目指す
〜ハードウエアからソフトウエアまで一貫して開発〜
株式会社 スマートロボティクス
取締役CTO 服部 秀男 氏

ロボット事業をメインに展開している株式会社スマートロボティクス。様々な現場から求められる要望に耳を傾け、本当に必要とされ役に立つロボットを、ハードウエアからソフトウエアまで一貫して開発する同社の概要と事業内容、製品などについて、取締役CTO 服部 秀男 氏にお話しを伺った。

 

■御社の概要についてお聞かせください

 

服部  : 当社は2016年3月に設立した会社で、将来的には自社製品を世の中に普及させたいという思いをもったメンバーが集まり、自社製ロボットの開発/販売等でスタートしました。

創業当時は、将来的に自分たちの開発したロボットが世の中で役立つために、ロボットと人のインタラクションをする部分が欠かせない要素であるという考えから、コミュニケーションロボットの分野からチャレンジをしました。当社開発のコミュニケーションロボットを使って、無人の民泊施設で、海外旅行者向けに災害情報や観光情報の案内を行ったり、IoT機器と連携して、騒音を感知して注意するというようなサービスの実証実験を行ったりしていました。また、コミュニケーションロボットを簡単なGUIでプログラミングできる教材アプリを開発し、カリキュラムと一緒に教育現場に提供することも進めていました。

しかし当時は、スムーズな会話をさせるために、クラウド音声認識や音声合成サービスへ頻繁に通信を行う必要がありました。それによってクラウドサービスの利用料が高額になる傾向があり、ビジネスラインに乗るためにはコストが掛かりすぎました。あわせて、海外ではスマートスピーカーが発売され始め、「音声で指示を出すデバイスが必ずしもロボットでなければいけない理由がないのではないか」という声も出始めました。

今後ロボットが普及してきた時に、音声コミュニケーション要素も欠かせないであろうと感じてはいましたが、もう少し時間が必要であろうということと、ロボットしかできないことをやるためには何を優先したらいいのかということを改めて考えていました。

創業時から私を含めロボットづくりが好きなメンバーの集まりだったので、「ロボットをつくる時に、一番のコアとなる部分は何だろう」といったところに立ち返り、我々がフォーカスしたのがアクチュエータでした。このアクチュエータのユニットを自分たちでつくれるようになっていれば、色々と応用が利くと考えました。

そのため、創業当時はコミュニケーションロボットがベースになっていましたが、2年目以降はアクチュエータをはじめ、コミュニケーションロボット以外の自社ロボットの開発をスタートさせています。それ以外にも、今までのような生産設備の自動化ではなく、例えば人が直接操作を行っていた個所に設置して、代わりに自動操作するロボットなど、多様な受託開発の依頼をいただくようになり、徐々に事業内容も変革しています。

その中から、様々なノウハウを得られるケースが多く、それを自社製品にも活かしながらロボット関連の幅広い分野で事業展開しています。

 

■御社のコアとなるアクチュエータについてお聞かせください

 

服部 : 当社のアクチュエータには、“Buildit”という名称をつけており、本製品の組み合わせで簡単にロボットを構築することが可能になります(写真1)。今までの生産設備や自動化のつくり方とは違い、IoTやWebなどといったもう少しソフトウエアに近いアプローチで、動作などを簡単に変えたり、ネットとの連携を容易に行えることを目指し、さらに「新しい自動化の分野がつくれないか」という思いも込められ開発しています。

写真1 『Buildit Actuator』

 

本製品は、減速機、クロスローラベアリング、多回転対応エンコーダ、モータ、ブレーキ、サーボドライバを内蔵したコンパクトサイズのオールインワンアクチュエータになります。当社では、ロボティクスに係るハードウエアとソフトウエアを自社内で一貫して開発できることを強みにしており、1号機は減速機も自社内で設計開発しています。

オールインワンコンセプトとソフトウエアに近いアプローチが非常に好評でしたが、一方では精度と量産コストの両立で問題を抱えていました。ただ、「お客様に早く届けたい」という思いがあり、まずは実績のある市販品の減速機を選定し、再設計をして販売することに決めたのです。 製品自体も、まだ発売したばかりなので、改善が必要なポイントも色々とありますが、このようなコンセプトをもった製品になっています。

主な特徴としては、各種駆動部品群が一体になっているため、本製品とホスト(PC)、電源を接続するだけのシンプルな構成で使用でき、ディジーチェーンで配線もシンプルに構築できます。また、Pythonから操作が可能で、Pythonライブラリ、GUIツールを提供しています。マイコンボードにプログラムを組み込み、無線LANやBluetoothを利用することにより、PCなし&配線レスで利用することも可能です。

会社名
株式会社 スマートロボティクス
所在地
東京都千代田区