■御社の技術/製品や日本市場への取り組みなどについてお聞かせください
澤入:当社の主力となる製品は、水と混ぜるタイプの洗浄剤で、水で希釈をして使っていく「水系」と呼ばれているものになります。それに対して、当社と競合する企業では、アルコールや炭化水素などを使って洗浄していく「溶剤系」と呼ばれる洗浄剤を主力にしています。
主な洗浄の対象になるのが、フラックスと呼ばれる油汚れのようなもので、これにアルコールや炭化水素などを使うと、容易にきれいになるようなイメージがあると思います。しかし、当社ではそれをほとんど水で行うことを推奨しており、油汚れのようなものに水を主成分とした洗浄剤できれいにするのは、どのように可能なのかちょっとイメージしづらいと思います。
ヨーロッパやアメリカも、最初は溶剤系を使った洗浄が主流でした。ヨーロッパが変ってきたのは、1989年に「モントリオール議定書」が京都で採択され、フロン/エタンの全廃が決定し、溶剤についてもなるべく使わない方向で動き出したのがきっかけになっていると思います。
日本もヨーロッパと同じく動き出したのですが、水系で上手くできなかった所がいくつかあり、その上手くできなかった所で溶剤を使うとそれが解決できたため、日本は溶剤を使う方向に舵が取られました。ヨーロッパも同じく上手くできなかったのですが、お客様であるマーケット側が溶剤を使い続けることを許さなかったので、メーカー側は開発せざるを得ない状況だったようです。
ただ我々も、最初から水をメインにしてきたわけではなく、洗浄工程の中で洗う部分については溶剤
を使い、その後のプロセスについては水を使うというような折衷案的な感じでスタートしています。
市場としても、すべて溶剤を使った技術ではなくなったので、当初は受け入れて頂けましたが、やはり溶剤の使用量をもっと減らしたいというニーズは強く、さらに踏み込んだ開発を進めていきました。
そして、水の含有率が7〜8割となる洗浄剤の開発に成功したのが、1990年代の後半になります。そこからは、順次改良を行いながら現在に至っています。
そのため日本では、このような水を主成分とした水系洗浄剤での実績はまだ多くないですが、海外においては相当な実績があります。本社のあるヨーロッパでは約7割のシェアをもっており、市場のほとんどが水系洗浄剤になっています。また、アメリカでは約半分となる5割のシェア、日本を除くアジアでは3〜4割程度のシェアをもっている状況です。そのような中、日本ではまだ10%程度しかないような状況で、ほとんどが溶剤系を使っているというのが、日本市場の実態でもあります。
「ワールドワイドでみても、当社の製品がこれだけ採用されている中でどうして日本では採用されないのか?」、「日本のエレクトロニクスはかなり発展しているのに、なぜまだ溶剤系が主流になっていて水系洗浄剤が使われていないのか?」など、当社サイドの単純な疑問になっていましたが、ここにチャンスがあると思い、今まで培ってきたノウハウや実績を活かしながら、日本市場への参入を決めたわけです。
当社の製品は、エレクトロニクス製造工程において多種多様な洗浄剤を提供しており、工程によって使われる製品も変ってきます。その中で、リフローはんだ付け後の基板洗浄は非常に難しい洗浄とされており、リフローはんだ付け前の洗浄と比べると使用量も多く、ゼストロングループ全体でもここで使用される製品の売上率が大きくなっています。
- 会社名
- ゼストロンジャパン株式会社
- 所在地
- 神奈川県高座郡寒川町
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