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テクニカルレポート
2015.06.12
実装基板テストにおける世界の最新動向と新提案
テストデータシステム(株)

 

はじめに

  近年、実装基板テスト技術を考えるにあたっては、純粋にテスト技術だけを追求し、業界に提案しても、この時代にマッチした提案にはならない。基板製造、検査工程は、世界を相手に極端なコスト競争をせざるを得ない環境におかれている状況にある。

 本稿では、高度で先端を走るテスト技術の追求と、トータルテストコスト(初期投資コスト、ランニングコスト、高スループットなど)やテスト環境(量産品、少量多品種、リペア、高密度実装等)などを総合的に考慮した、ユーザーの現場にもっとも適したテスト環境を作る方法を提案したい。

 基板製造工程では、製造技術の向上によって初期不良も次第に減少してきている。各基板メーカーにおいては国際的な価格競争力を付けるために、いかに製造コストを低減するかが重要課題になっているが、その視点で検査工程を見ると、およそ二つの道が考えられる。

 ①徹底的な基板製造工程の改善によって品質向上を図り、検査工程を簡略化する

 ②検査工程の改革によって、低コストで高テストカバレージの工程を構築し、基板製造全体でコスト低減を図る

 今回は②の項目をターゲットとして、ワールドワイドでの基板検査工程において高い評価と実績を得ており、日本でも昨年から販売を開始しているSPEA社のテスタ群(インサーキットテスタ、フライングプローブテスタ)をご紹介したい。テスト方式の名称は従来の物と同じであるが、おのおののテストコンセプトやテスト内容はまったく異なっているとお考えいただきたい。新しい検査工程の構築・改善、及び日本では避けて通れない海外展開を考えている方に、日本と同じテストレベルを容易に海外展開可能な検査システム群としてご紹介するものである。

 なお、今回ご紹介する基板検査は、通電による基板単体試験に限定しており、外観検査(可視、X線等)や類似した非接触型の基板検査は対象外である。

世界の基板テスタの流れ

  最初に世界の基板テスタのトレンドを説明する。まず約30年前にデジタルインサーキットテスト方式(ICT)が検査業界に紹介され、一大旋風を巻き起こした。この流れは日本にも押し寄せ、米国製のデジタルICTが国内基板メーカーに大量に導入され、基板試験に必要不可欠なテストシステムとなった。しかし、このテスタは非常に高価であったため、日本ではその後、デジタルテストを省いたアナログテストのみの安価なICTが開発された。国際競争力強化の流れの中でコスト低減が最優先の企業とっては、テストカバレージを犠牲にしてでも、このICTを導入する方向に進んだのである。

 ICT方式では初期コストだけではなく、ランニングコスト、特にテスト治具がテスト基板ごとに必要であり、どうしても検査コスト高になった。この欠点を補うために、フライングプローブテスタ(FLY。別名:フィックスチュアーレステスタ)方式が開発され、現在国内で広く使われているが、こちらも欠点がある。ICT に比べて検査時間が多くかかり、プログラミングが意外と難しく、導入した後、アプリケーション開発に時間をかなり要し、有効に使われていないケースも多いと聞く。

 このように、それぞれのテスト方式に長所や短所があり、現在もそれらを補完しながら使用しているのが現状である。

 このような約30年前からの基板テスタの流れに対し、次の時代に対応できる検査工程を構築するために、これからご紹介する新しいテスタは有効であると考えている。SPEA社のテスタはそれぞれデジタルICT、フライングプローブテスタと以前のテスタと同じ呼び名であるが、テストアーキテクチュアは格段に進化していることをぜひご理解いただき、有効的な導入を考えていただきたいと思う。

基板検査手法によるテストコストとテストカバレージの推移

検査工程では種々の基板検査手法があるが、図1内の③の検査手法によるテストコストとテストカバレージの概略推移を図2に示す。また図1の①、②の検査手法によるテストコストとテストカバレージの概略推移は、図3に示す(なお、⑤のテスト方式に関しては検討外とする)。

図1

  図2に示すように、従来型のフライングプローブテスタと比較して、SPEA社のテスタは大幅なテストカバレージの向上を実現している。それに伴うテストコストの上昇はテストカバレージ上昇に比べてそれほど大きくならず、コストパフォーマンスにすぐれていると考える。

 また、図3のように、インサーキットテスト手法によってテストカバレージを上げていくと、それに比例してテストコストも上昇してゆき、テスト工程管理者にとっては悩みの種となっている。特に、近年初期投資の限界によって高価格デジタル・アナログICTから安価なアナログICTにおきかえられており、テストカバレージを犠牲にした、コストの重視に流れが変わってきている。

図2 フライングプローブテスタにおけるコストとテストカバレージの推移

図3 インサーキットテスタ(ICT)におけるコストとテストカバレージの推移

 

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テストデータシステム(株)
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