①はじめに
狭ピッチBGA(Ball Grid Array)部品が市場に広がり、0.8mmピッチのBGAパッケージでは製造不良が発生していなかった企業が、0.5mmおよび0.4mmピッチを使うようになり実装不良が急増している。0.8mmピッチから0.4mmピッチになると、はんだ量が12.5%になってしまうため、実装の難易度が劇的に高くなり、基板表面の汚れや異物、基板のひずみの影響を大きく受けるため、実装基板の不良が増えている。
最近、設計部門、製造部門、品質保証部門、保守部門など、あらゆる部門からBGA実装基板のテストと故障解析の方法について相談を受けている。JTAGテスト(バウンダリスキャンテスト)は、高密度実装基板のテストに使われるようになってきているが、具体的にどのような検査手法であるか、どのように使われているか知らない方が多い。そこで、今回はJTAGテストを活用してBGA実装基板の実装保証を行っている村田機械(株)の活用事例を解説する。
②海外と日本の市場動向の違い
JTAGテストは、1993年にIEEE1149.1スタンダードとして規格化されて以降、世界中の電子部品に部品実装後のテストを可能にするためにJTAGテスト用のロジックが組み込まれてきた。欧米では、1990年代から現在に至るまで、一般的な検査手法の一つとしてJTAGテストが使われてきた。
日本国内では、日本で主に使われているルネサス社のマイコンは、JTAGテストに非対応だった歴史があり、JTAGテストは海外のように普及してこなかった。しかし、この10年で状況が変化し、Armマイコンが世界中のあらゆる製品で使われるようになり、JTAGテストが組み込まれたマイコンとFPGAが一般的なものになった。
JTAGテストを行うためのインタフェースは、JTAGポートと呼ばれ、マイコンのソフトウエアを開発する際に使用するデバッグポート、FPGA書き込み用のポートをそのまま使用することができる。基本的に基板上には特別な回路は必要なく、JTAGテストモードに移行するための最小限の処理だけで、基板全体をテストできる仕組みである。
JTAGテストを行うための装置は、他の検査設備とは異なり、図1のようにノートパソコンと一緒に持ち運びができるコンパクトな構成になっている。検査対象の基板にJTAGポートのコネクタがあればケーブル接続でテストができ、コネクタが実装されていない基板の場合にはピン治具からコンタクトしてJTAGテストを実行することができる。
③JTAGテストの仕組み
JTAGテストは、図2のように基板上に実装されているJTAG対応部品の端子をバーチャルプローブとしてパソコンから制御して通電試験をする仕組みである。このバーチャルプローブとして利用して、JTAG対応部品間の配線テスト、JTAGテストに非対応のDDRメモリに対してリード・ライトテストを行うことができる。JTAGテストではBGA部品の真贋判定、実装方向、ボンディングワイヤのテストと実装基板のはんだオープン、ブリッジ不良、基板のパターン不良を検出することができるため、近年の実装基板に対する有効なテスト手法の1つとなっている。
以前は、JTAGテストは難しいというイメージがあったが、JTAGテストツールの進化により一変した。テストプログラムの作成が自動化されるようになり、誰でも簡単にJTAGテストパターンを生成できるようになった。JTAGテスト用のデータを生成するためには、基板を製造するために使用するネットリスト(回路CADから生成される配線情報)、JTAG対応部品の内部のテスト回路情報が記載されているBSDLファイル(デバイスメーカより提供されるファイル)、JTAGテストに非対応の部品ライブラリ(JTAGテストツールのライブラリ)を使用する。
最新のJTAGテストツールでは、図3のようにJTAGテスト対応部品間のテストであるインターコネクトテストの他に、32万種類を超えるJTAGテストに非対応部品のライブラリが用意されている。この部品ライブラリを利用して、DDRメモリ、周辺ロジック回路、フラッシュメモリなどのテストデータが自動生成できるようになり、飛躍的にテストカバレッジは拡大し、さらにテストデータ作成にかかる工数を大幅に削減できるようになった。
- 会社名
- アンドールシステムサポート(株)
- 所在地
- 東京都品川区南品川2-15-8
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