それから2012年の5月に、屈曲に強いリード線の固定方法に就いて特許を取得し、新たに製品化したのがリード線断線防止機能付きヒータになります(写真4)。従来のヒータは、内部から出たリードピンに被覆撚り線を接続子を使用して接続することが一般的ですが、これを金型または熱盤に取り付けて使用する場合、金型または熱盤が上下あるいは左右に動くことにより接続子の部分で断線する事故が多発しています。この事故を防ぐために、被覆撚り線をリードピンの先端部で接続し、その接続部を柱状でかつ柱の軸方向を被う金属スリーブを圧縮減径し、保護部材内でリード線を固定するとともにシースパイプの端部にも固定することにより、耐屈曲性に優れた今回の新製品を開発することができました。ヒータの形状は、ストレート型とL型の2タイプを用意しています(図2)。
写真4 リード線断線防止機能付きヒータ
図2 リード線断線防止機能付きヒータのタイプ別仕様
また、現在も断線に関するデータ収集を当社の開発した耐屈曲試験機により進めており、従来のヒータは大体14,000?15,000回位で断線してしまいますが、今回開発した製品は現状700,000回まで断線しておらず、さらに継続して試験を行っている状況です(写真5)。
このように、少しでもお客様のお役に立つような製品を今後も開発していきたいと考えています。
写真5 耐屈曲試験機による実証実験
今後の展開についてお聞かせ下さい
奥田:私はよく、会社を“畑”、製品を“苗”に例え、「畑と苗を育てて実ったら収穫をし、そのあとはみんなで分配してほしい」といっています。これを実行するためには、「良い製品のために毎日コツコツ」、「お客様のお役に立つ」という志をもって、社会に貢献できる企業であり続けることと、社員が一つのチームとなって同じ目標に取り組む姿勢が重要だと考えています。そのために、5S運動(整理、整頓、清掃、清潔、しつけ)といった社員教育を通じて、今日よりも明日、明日よりも明後日と改善を進めながら進化を続ける体制を整えていきます。
写真6 『2012年国際航空宇宙展(ジャパン エアロスペース2012/JA2012)』の出展風景
本年は、創業50周年を迎える節目の年でもあります。初めての社員を迎えて以来、中途採用が続いていましたが、数十年ぶりに今年は新卒者が4名入社する予定です。この4名を3?4年かけて育てながら新体制を築いていき、会社自体を盛り立てていきたいと考えています。
それから製品としては先程も少しお話ししましたが、表面温度が1,100℃で使用可能なヒータを1,300℃で使用可能なヒータに進化させることと、如何に早く製品を出荷するかというところに重点をおいて進めていきます。また今までは、繊維/陶磁器/プラスチック/自動車/電子部品/半導体などの分野に事業を展開していましたが、先日ポートメッセなごや/中部国際空港(セントレア)で開催された『2012年国際航空宇宙展(ジャパン エアロスペース2012/JA2012)』にも出展したように、航空/宇宙産業にも注目しており、事業展開を進めています(写真6)。
最後になりますが、良い製品ができたとしてもお客様に知って頂かないと何のお役にも立てません。これからは、お客様のニーズに耳を傾けながら製品開発を行い、その情報を広く伝えていく努力もしていきたいと考えています。
本日はお忙しい中ありがとうございました。
- 会社名
- 三洋熱工業株式会社
- 所在地
- 愛知県春日井市
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