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テクニカルレポート
2015.09.04
装置の電源
前田真一の最新実装技術あれこれ塾

 

図11 LSIには多くのコンデンサを接続

図12 パッケージ上のパスコン

LSIの消費電力の増大と動作の高速化はパスコンによる電源変動抑圧効果を著しく困難にしています。LSIの消費電力増大により、LSIに流れる電流の変化が大きくなります。個の大きな電流変化をパスコンが貯めている電荷で補正するためには大きな容量が必要となります。 単純に容量の大きなコンデンサは、応答時間が遅く、高速LSIの電源電圧補正には間に合わないので、高速応答できる、容量に小さなコンデンサを大量に使用する必要があります。

 最近のLSIでは電源電圧が多様化してきて、そのおのおのに大量のパスコンを使う必要があります。このため、1個のLSIに対して数百個のパスコンを搭載するようになっています(図11)。

 LSI信号の高速化によって信号の変化によって生じる電源電圧変動も高速化しています。このため、部品としてのコンデンサもより高速動作するような製品が次々と開発されています。

 また、基板設計でもバイパスコンデンサの配置、配線に対しては細かいところまで研究がなされ、詳細な設計指示がされています。電源電圧の変化はLSIの動作に影響を与えるので、LSIチップへの供給電位が安定する必要があります。

 しかし、基板上に配置されたバイパスコンデンサはICパッケージの部品便の電位を安定させますが、パッケージの内部やパッケージからICチップへの接続経路で発生する電源電圧変動要素に対しては効果がありません。

 このため、パッケージ内の配線基板(インタポーザ)にパスコンが配置されるようになりました(図12)。インタポーザ基板は小さく、多くのパスコンを配置する余裕がないため、部品内蔵基板が使われたりします。部品内蔵基板は配線によるL成分が小さくでき、パスコンが高い周波数まで効果をもつようにもできます。

 せっかく高価な部品内蔵基板を使っても、マザーボードでは、パスコンが高い周波数まで有効になるという部品内蔵基板の特徴の一つはあまり生かされません。

 基板埋め込み基板は価格の点もありますが、マザー基板にはあまり使われず、インタポーザやモジュール基板により多く使われている理由です。

4.電源の来たるべき姿

  さらに次の段階としては電源をパッケージに配置することが考えられます。

 オンPCBコンデンサよりもオン・パッケージコンデンサの方がLSIチップまでの経路が短く、経路のL成分が小さくなります。このため、オン・パッケージCは高い周波数のノイズに対して効率がよいわけです。

 それならば、コンデンサではなく、パッケージの上に電源回路を配置すれば、PDNはオンボード電源よりもずっと効率が良くなります。

 一つのパッケージの中に複数のチップを実装するSiP (System in Package)化が進んでいます。

 たとえば、新しいDDRメモリであるDDR4やWide I/O規格では、1パッケージに複数のメモリチップを内蔵することが規格として盛り込まれています。

 複数のチップを1パッケージに内蔵することにより、パッケージの消費電力が増大するため、チップへの電源供給がこれらの規格では強化されています。これらSiPの電源供給は、パッケージの内部に電源回路をもってくれば、解決します。

 パッケージ内に配置するためには電源回路を小型化する必要があります。部品内蔵基板は有効なソリューションとなります。

 しかし、さらに究極の解決のため、ICチップ内に電源回路を集積してしまう手法が開発されつつあります。

 

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Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社
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