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テクニカルレポート
2019.07.26
品質管理に導入されるロボット
メトロロジー(寸法計測)とロボティクスを連携させるには
アメテック(株)

 

2.柔軟性

 生産性向上のニーズは業界によって異なる。

 航空宇宙産業の場合、部品数量は多くなく、機種の可変性および機種構成度合いが高くなっている。

 反対に、自動車産業では、部品数量が多く、車種の可変性および車種構成度合いは低くなっている。

 つまり、検査する部品が大きく異なる可能性があるため、品質管理ソリューションには柔軟性が求められるのである。

 さらに、スキャンソリューションには、形状の複雑さに関わらず、また、表面処理されていなくても、どのような仕上げでもデジタル化できるだけの柔軟性も必要である。

 

3.高い簡便性

 しかし、こういった柔軟性に対応するには、プログラミングが容易に行える必要がある。

 『VXelements』などの3Dソフトウエアプラットフォームでは、必要なツールすべてがスマートかつ簡略化された、ユーザーフレンドリーなインターフェースに統合されている。

 ターンキーソリューションには組み込みで、リアルタイムパフォーマンス指標およびシンプルかつ効率的な3D測定経験を提供するリアルタイムでの可視化機能が備わっている。

 このため、自動化されたソリューションのターンキー的特徴を兼ね備えた3Dソフトウェアスイートによって、品質管理装置をより一層容易に利用できるようになる。

 

4.生産性向上

 『CUBE-R』のようなターンキー自動品質管理ソリューションを利用することで、製造企業は生産性の向上を図れる(写真4)。

写真4

 

 生産性の向上によって、次のことが可能になる。

 

・ 同寸法部品の1時間あたりの測定数を増やすことができる

・ より多くの部品の限界寸法のみを測定することで、1時間あたりの部品測定数を増やすことができる

・ 測定数は同じでも、それぞれの部品のより詳細な情報を取得して履歴を構築し、追跡可能性の向上を図れる。つまり、不備があった場合に、問題の原因を早急に特定できるようになる

・ 1時間あたりの部品測定数および寸法測定数を増やすことができる

 

 つまり、『CUBE-R』のようなターンキー自動検査ソリューションは、生産性と精度のいずれにおいても最良のソリューションといえる。

 とりわけ、利用しやすさ、柔軟性、簡便性に優れた測定ツールである『CUBE-R』は、品質管理に携わる人たちにロボティクスを利用可能にするものである。

 品質管理にロボティクスを組み込むことによるメリットは、はかりしれない。

 最大のメリットである生産性の向上はいうまでもなく、より短時間でより多くの寸法、より多くの部品の検査が可能になる。

 さらに、予防措置を講じるため、取得したデータの分析にあたっていた人員をその作業から解放することもできる。

 

 

5. 修正措置および予防措置を講じるためのデータ処理

 

 自動品質管理ソリューションによってメトロロジー(寸法計測)がより容易に行えるようになることで、現在データ処理の繰り返し作業を行っている人員をより付加価値の高い作業に集中させることができる。

 部品の品質向上にとってとりわけ重要なのが、生産の最適化のための、また、大きな損害を出すミスを避けるための修正措置および予防装置を講じるのに役立つ、収集データの分析である。

 膨大な情報が処理されず、修正措置や、より良い予防措置を講じるために活用されないとしたら、それらの情報を評価する意味はまったくない。

 すべてのデータは、生産に役立てるためにある。

 生産環境でエラーが発生した場合にアラームを動作させるためや、製造工程での不具合発生後即座に(もっといいのは、不具合が発生する前に)警告を促すために役立てる必要がある。

 修正措置および予防装置を講じることは、もちろん、大きな課題に直面することでもあるが、これこそが、スマートマニュファクチャリングおよびインダストリー4.0が目指すものである。

 このためには、ソフトウェアのイノベーションが欠かせない。

 このビジョンの達成には、問題を分析して適切な部署に即座に通知できる使いやすいソフトウエアプラットフォームが必要である。

 たとえば、検査データの処理後、溶接の問題を検出した検査ロボットが、溶接ロボットにエラーを修正するよう命令を送り、同様の問題が再発しないようにするといったことが可能になる。

 最終的には、もちろん、すべての部品のすべての寸法を検査し、欠陥のない完璧な部品を生産することを目指します。

 そのために、品質管理を生産ラインに直接統合する必要があります。

 

 

6. インラインメトロロジー&リーン生産方式

 

 ロボットは、すでに生産ラインに導入されている。

 しかし、メトロロジーは、いまだ生産現場に組み込まれずにいる。おそらく、生産における品質管理の今後の大きな発展の1つは、インラインメトロロジーによってもたらされるであろう。

 振動、埃、気温変化や湿気のある産業環境で品質管理が実施されるようになるのはもはや不可避のため、測定ツールは、生産ラインの製造工程で直接利用できるよう設計する必要がある。

 そのためには、検査装置メーカーは、測定の専門家でない人たち向けの適切な品質管理ソリューションを提供する必要がある。

 また、詳細な取り扱い説明書や長期のトレーニングの必要のない、プラグアンドプレイのすぐに使えるソリューションで、ロボットが(ロボティクスの知識がない)測定の専門家とやり取りできるようにする必要もある。

 そうすることで、そのようなロボティクスの知識のない人員に、ロボットを品質管理に不可欠なだけでなく、損失を最小限に抑えるために全製造工程が最適化された、リーン生産方式の一部としても欠かせない連携エレメントとして捉えてもらえるようになるのである。

 さらに、品質管理が生産ラインで行われるようになったとしても精度の重要性がなおざりにされることはない。

 測定ツールは、過酷な産業環境にさらされたり、異なる場所で使われる場合でも、測定ラボで使われる場合と同等の測定精度および公差レベルを維持する必要がある。

 

 

7. 結論

 

 メトロロジーとロボティクスの連携は今後拡大している。

 付加価値の高い作業への人員の再配置を可能にし、より多くの部品または寸法を測定できるようにするロボティクスは生産性を向上させる。

 また、ロボティクスが最終的に目指すのはすべての部品のすべての寸法の品質管理である。

 自動品質管理ソリューションは、産業環境や生産環境でも精度の重要性を損なうことなく、インラインメトロロジーの利用しやすさ、柔軟性、簡便性をより一層向上させる。

 これをサポートするのが、予防措置や修正措置を支える形で明確かつ迅速な結果を提供するソフトウエア設計である。

 このイノベーションには、ロボットに搭載され、生産ラインに付属している測定装置の誤用が不可能なプラットフォーム経由でリーン生産方式とインラインメトロロジーを連携させるハードウェアおよびソフトウェアが必要である。

 こういった状況であれば、メトロロジーの知識がない人であっても、スキャンがうまくいかなかったり、測定結果が不完全であったり、欠陥部品が検査を通ってしまうということは起こり得ない。

 

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