5. NPIソフトウェアに求められること
基板製造企業と実装企業の能力を総合的に判断しながら、初回のリリースプロセス中に設計を最適化する方法を見つけることは、NPIプロセスを成功に導くために欠かせない要素である。
NPIソフトウェアに求められるのは、単に間違いを見つけるだけでなく、選択した製造プロセスに含まれるさまざまな課題や制限を理解したうえで、目的に最も適したトレードオフの決定を下せるように製品責任者を支援する機能である。
理想的な設計要件や製造プロセスの限界を定義する技術も重要である。
正しい制約ルールが適切に割り当てられるように設計データを分析し、製造許容差を制約に適用し、DFMルールエンジンがこの製造許容差を自動的に考慮して、DFMルールに適合しているか違反しているのかを判断できなければならない。
Mentor, a Siemens Business(以下メンター)が提供する『Valor NPI』は、DFM(製造を考慮した設計)の考え方に基づき、設計段階で製造と実装の問題点を検証、解決するプリント基板(PCB)新製品導入ソリューションである。
PCBのデザインレビューをシステム化し、設計者の作業効率化、設計手戻りの削減、製品全体の品質向上、短納期化に貢献する。
6. DFM解析の自動化
『Valor NPI』は、独自のシステムロジックを用いてDFM 解析を自動化する機能を持っている。
インテリジェントな設計データを用いてPCBの分類を自動決定し、PCBテクノロジと製造制約の組合せに基づいて最も適切な品質DFM 解析を実行する。
図3 PCBテクノロジに応じたDFMルールの自動選択
たとえば、基板製造DFM解析では各層における銅箔の重量が重要となるが、これは使用されている銅箔の重量によって適用するエッチング補正が変わるからである(内層と外層で違うものになる)。
15gの銅箔でできた内層で75μmの間隔は許容範囲であるが、同じボードの外層には30gの銅箔が使われているため100μmの間隔が必要となる。
さらに、積層ビアで構成されるPCBには、単層の回路基板とは異なるDFM ルールを適用する。『Valor NPI』は、こうした特性に自動的に対応することで設計データの分析とルールの選定に関わる工数を削減し、すべてのユーザに一貫して理想的な環境を提供する。
また、設計要件やプロセス要件を収集して管理する作業が容易になり、紛らわしい構成要件や段取り要件を排除することが可能となる。
PCB設計者は社内の設計ガイドライン要件と業界のガイドライン要件を満たす責任を持つが、このソリューションを使えば、DFM要件のあらゆる側面に対応できる。
設計と製造の間の技術的な窓口となることが多い製造エンジニアやNPIエンジニアは、複数のプロセスにまたがる製造要件やサプライヤの要件を容易に評価できる。
一方EMSベンダは、製造を成功させるために、製造ラインプロセスや複数の場所に対して製造要件を評価できる。
7. DFMヒストグラムによる歩留まり改善可能性の評価
DFM解析は、「合格・不合格」で判定するデザインルールチェック(DRC)とは性質が異なる。製造工程で問題となるのは歩留まり、品質、製品の信頼性である。
結果は深刻度によって「製造不可能」から「問題無し」に分類され、中間にあたる部分は歩留まり改善の可能性を示している。
この部分は試作では問題にならなくても、量産の妨げとなることがある。
『Valor NPI』ではヒストグラムにより閾値の範囲ごとに検出数を表示し、解析結果の分布を確認できる。
図4 DFM解析結果のヒストグラム表示
- 会社名
- メンター・グラフィックス・ジャパン(株)
- 所在地
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