①気候変動対策としてのバイオプラスチック
地球規模での気候変動に伴う異常気象や災害の増加が近年ますます問題になっているが、これはCO2を含むいわゆる温室効果ガスが主要因であるとされている。CO2排出量削減が世界的な課題として強く認識される中、化石由来の原料を用いて製造され、使用後はその多くが焼却処分されることでCO2の排出源となるプラスチックには、厳しい目が向けられることが多くなってきている。
便利な生活にとって欠かせないプラスチックの使用と、CO2削減とを両立させ、持続可能な社会を構築するための取り組みとして、バイオプラスチックの使用に注目が集まっている。バイオプラスチックとは、環境中で微生物の働きによって分解する生分解性プラスチックと、植物等のバイオマスを原料として製造されたバイオベースプラスチックとを総称する用語である。生分解とバイオベースは、重複する部分をもちつつ、それぞれ異なる概念であり、生分解とバイオベースが両立する材料(例:PHBHなど)もあれば、バイオベースだが生分解しない材料(例:バイオPETなど)や、化石由来の原料から作られた生分解性材料(例:PBATなど)も存在する(図1)。また、生分解性は、その材料が置かれる環境条件とセットで捉える必要がある点も注意が必要である。例えば、材料によっては堆肥(コンポスト)では分解するが海洋環境では分解しない、といったケースが想定される。
バイオプラスチックの使用には様々なメリットが考えられるが、気候変動対策という文脈における主要な利点を2つ挙げるとすると、1点目としては、植物由来のバイオベースプラスチックを使うことで、当該プラスチックの焼却によるCO2排出量から、植物の光合成によるCO2吸収分を差し引いて、全体としての排出量を抑える効果が期待される。2点目は、生分解性プラスチックを生ゴミの回収袋等に用いることで堆肥化を促進し、プラスチックの焼却量を削減可能となることが挙げられる(図2)。
なお、マイクロプラスチックによる海洋汚染対策として、海洋生分解性プラスチックの活用も盛んに議論されており、さらに環境負荷低減という文脈では、リサイクル材の積極活用を推進する動きも欧州を中心として広まりつつあるが、それぞれ別の大きなテーマとなるため、本稿では紙幅の都合によりこれらの点を指摘するに留めさせていただく。
上記のように、従来のプラスチックをバイオプラスチックに代替することでCO2削減に一定の効果が見込めることから、欧米や日本を中心とした主要国では、バイオプラスチックの使用に関する規制を制定する動きが進んでいる。本稿ではそうした主要国の規制動向、及び関連情報として材料の生分解性を評価するための国際規格に基づく試験方法を紹介する。
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- (株)ケミトックス
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