⑦質試作したQDセンサ®(第3世代)と多摩川精機製の音響AEセンサとの外観・特性比較の確認
ここで、まずは、外観形状とその周波数特性について、要点を簡潔に見ておく。
図7は、QDセンサ®(第3世代)と多摩川精機製のデジタル式音響コム型AEセンサとの外観の比較例を示す。外観の大きさに関しては、QDセンサ®(第3世代)は多摩川精機製デジタル式音響コム型AEセンサの約半分以下で、小型化を実現している。また、固定ボルト穴を4個所(壁用、平面用)にして、固定の自由度を向上させている。

図7 QDセンサ®(第3世代)と多摩川精機製のデジタル式音響コム型AEセンサとの外観の比較例
図8は多摩川精機製のデジタル式音響コム型AEセンサにおけるCH1〜CH11の測定波形のFFT解析の一例を示す。図8の多摩川精機製のデジタル式音響コム型AEセンサと図6(c)のリバーエレテック社製QDセンサ®(第3世代)とを比較すると、それぞれのCHの検出波形が異なり、多摩川精機製のデジタル式音響コム型AEセンサの波形はピーク状の波形ではなく、その感度を示す山の高さも幅も大きくなり、明らかにQDセンサ®の性能が向上していることが理解できる。

図8 多摩川精機製デジタル式音響コム型AEセンサCH1~CH11の測定波形FFT 解析の一例
※ インパルス応答(impulse response)とは
JIS B 0155 :1997 工業プロセス計測制御用語では「インパルス入力を加えた場合に生じる時間応答」と定義。インパルスとは非常に短い時間に大きな振幅を有する特殊なパルスのことで解析手法(伝達関数)として扱われている。インパルスは主に電子回路などの弱電の世界で使われ、電圧や電流などと変化の速さ(時間)に比べて、非常に短い時間で、大きな電圧や電流値をもつ。
※ クロストーク(cross talk)とは
直訳すると漏話という意味。伝送信号が他の伝送路に漏れることで、混線とも称される。ここでは、隣接する配線間での、電磁干渉、静電干渉により、ノイズとして隣接配線で観測されること。
多摩川精機製のデジタル式音響コム型AEセンサの場合、図8のグラフから各CHの中心周波数のピーク値を見ると、表3に示すようにピーク値がある。線は18本くらいあるようなので、これ以外のチャンネルの値も書かれているようである。ピーク周波数が定間隔で上昇していないので、QDセンサ® (第3世代)の各CHの周波数が設計通りの周波数になっていないようである。これは、主に製造時の寸法ばらつきの影響と考えられる。また、ピーク値から3dB下がるところの幅が半値幅と呼ばれ、Q値=中心周波数÷半値幅であることから、各素子のQ値ばらつきもかなり大きいことがわかる。
- 会社名
- (株)武藤技術研究所
- 所在地
- 神奈川県相模原市緑区大島2695-18

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