④試作した第3世代QDセンサ®素子の筐体化
図3は、試作した第3世代QDセンサ®素子の筐体化を示す。まず、セラミック基板上に配線、端子がフォトエッチングされ、次に同基板上QDセンサ®素子とアンプが一体化して実装される。そして、第3世代QDセンサ®素子とアンプが実装されたセラミック基板を筐体に実装し、1つのセンサに10CHのカンチレバーが内蔵されたQDセンサ®として完成する。第3世代QDセンサ®内のカンチレバー10CH分の信号線とアンプ用電線およびアースの合計15本の信号線をはんだ付けし、他端をモレックスのコネクタで接続する。

図3 試作した第3世代QDセンサ®素子の筐体化
⑤試作したQDセンサ®(第3世代)の校正方法
試作したQDセンサ®の校正は、日本非破壊検査協会規格(NDIS)2109「相互校正法によるアコースティック・エミッション(AE)変換子の絶対感度校正」方法に準拠して実施している。図4は、「相互校正法によるAE変換子の絶対感度校正方法」による本QDセンサ®の校正方法を示す。QDセンサ®(第3世代)の特性確認試験として、図4(a)に示すように、同等のセンサを媒体を介して同じ位置(中心)に対峙させて行う。校正媒体は、φ20cm×厚さ3cm、鉄鋼。基準センサは、 2個(リファレンス用AEセンサ)として、富士セラミックスREF-VLを使用。その特性は図4(c)に示す通りである。
また、図4(b)に示すように、上記基準センサ2個と校正するQDセンサ®(第3世代)を用いて、二変換子校正を用いて校正を実施している。校正信号発生器は、ファンクションジェネレータ+アンプ(アンリツMG418Aなど)を使用。波形表示装置は、岩通4CHデジタル ・ オシロスコープ。電流プローブは、P6022(935Hz〜120MHz、6Aピーク)を使用している。
図4に示した校正方法で実施したQDセンサ®(第3世代)の特性図を得るつもりで、実験を行った。しかし、富士セラミックス製REF-VLリファレンス用AEセンサ、つまり2つの基準センサを使用したが、校正信号発生器の出力を大きくしても、リファレンス用AEセンサからの信号が微小すぎて、QDセンサ®(第3世代)では検出できなかったため、断念せざるを得なかった。

図4 QDセンサ®(第3世代)の相互校正法によるAE変換子の絶対感度校正方法
そこで、次節のような簡易インパルス応答方法によるQDセンサ®(第3世代)の特性の確認を行った。
⑥簡易インパルス応答方法による 試作したQDセンサ®(第3世代)の特性確認試験
試作したQDセンサ®(第3世代)の特性確認試験として、ここでは簡易インパルス応答試験について見ておく。この試験は、QDセンサ®(第3世代)の特性を簡易的に確認するもので、後述するQDセンサ®の校正方法の基礎となるものである。
図5はQDセンサ®(第3世代)の簡易インパルス応答による特性確認試験を示す。

図5 QDセンサ®(第3世代)の簡易インパルス応答による特性確認試験
図6はQDセンサ®(第3世代)の特性確認試験における簡易インパルス応答試験としての落下試験の様子と、実測結果の一例を示す。
図6(a)ではCH1〜11では一定の高さ5mm、CH12〜22では50mmから150gの重りを自由落下した時の信号を測定した場合を示す。
図6(b)は、落下試験時のQDセンサ®(第3世代)におけるCH1〜CH11の各CHの測定波形の一例を示す。
FFT解析装置の窓関数は矩形(Rectangular)、サンプリング周波数は5MS/s(メガサンプル毎秒)である。つまり、1秒当たりに500万回のサンプルを取得すること、すなわち0.2µs(1/1,000s)ごとに出力信号の電圧値を取得していることを意味する。図6(c)から、設計した周波数値はどのくらいの精度であるのか? ということを確認する。周波数の精度については、初回の試作QDセンサ®ではFEM設計値と今回の試作QDセンサ®(第3世代)の実測値では差があるので、今回の試作QDセンサ®(第3世代)では表2に示すような誤差が発生した。

図6 QDセンサ®(第3世代)特性確認試験における簡易インパルス応答試験としての落下試験の様子と実測波形とFFT解析結果の一例
CH9は測定不能であった。多摩川精機製のデジタル式音響コム型AEセンサの場合のように、カンチレバーごとに周波数のピークが高かったり低かったりするのではなく(これは主に加工精度による影響)、本QDセンサ®(第3世代)の場合はフォトリソで精度よく製作することによって、設計値と試作値では、ずれ値にある種の傾向の発生が生じる場合がある。本QDセンサ®(第3世代)のkHz場合は、設計フィードバックすることで、精度を合わせ込むことができるので、フィードバック後の精度は、無調整で±1%程度、1本ずつの周波数微調整工程を入れることで、±0.01%程度にすることが可能になる。よって、設計通りの周波数上に検出感度のピークが正確に再現され、これを確認することができていることが理解できよう。ただし、隣のチャンネルにクロストークが発生しているのは、CH1〜7測定時にCH8〜11の配線をしていなかったため、ケーブルの影響だけでなくセンサ、基板、回路にもクロストークが発生している。これは、アンプにともなうGNDの共通化が原因の一つと考えられる。
- 会社名
- (株)武藤技術研究所
- 所在地
- 神奈川県相模原市緑区大島2695-18

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