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テクニカルレポート
2019.04.19
シリーズ・さまざまな研究所を巡る(第5回)
日本の航空技術の開発をリードするJAXA(その2)
厚木エレクトロニクス

 

 

6. ドローン運航管理システム

 

 測量や災害地の上空からの撮影、農薬散布に続いて、物資の輸送、橋やトンネルなどのインフラ点検と、ドローンが身近なものとなりつつあり、個人の生活、産業、経済、社会に大きな変革をもたらすものと期待されている。

 しかし、無人機が我々の頭上を飛び回るには、絶対的な安全対策が重要である。

 現在は、操縦者の目視範囲なら許可されており、更に無人地帯なら目視外でも許可されている。

 しかし、ドローンの機能を十分に活用するためには、図10のようにどんな場所へでも無人で飛行する必要がある。

図10 ドローンの主な用途 (図はJAXA提供による。筆者が一部加工した)

 

 ドローンが建造物や電線に触れたり、ドローン同士が衝突するなどが起ってはならない。

 JAXAでは、このための「運航管理システム」の検討を行っている。

 平成29年度にスタートした経済産業省/新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」に参画し、他の研究機関及び民間企業と共に、運航管理システムの開発に取り組んでいる。

 


7. コンパウンド・ヘリコプターの開発

 

 JAXAでは前進飛行時に一部の揚力/推進力を固定翼/プロペラに分担させる、図11のようなコンパウンド・ヘリコプターを開発している。

図11 コンパウンド・ヘリコプター (図はJAXA提供)


 ヘリコプターの固定翼の他に推進プロペラを加えた新しい形態で、ヘリコプターのようなホバリング性能を維持しつつ、最大飛行速度の大幅な向上(約2倍)が期待できるものである、現在、飛行可能なスケールモデルを使って実験を行い、数値流体力学ツールを使って、ロータと主翼の干渉を確認する検討も行っている。

 昨年7月には、スケールモデルの風洞試験を行った。

 


8. まとめ

 

 2ヶ月にわたってJAXA航空技術部門の紹介を行った。

 ジェットエンジン、電動航空機、超音速旅客機、コンパウンド・ヘリコプターなどの研究開発や、航空の安全性や快適性、騒音対策、災害時の対処など多くの研究が行われており、これまでも多くの成果が得られているが、今後もさらなる進歩を期待したい。

 

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厚木エレクトロニクス
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