3. 着陸時の機体騒音の低減
航空機の離着陸に伴う騒音は、空港周辺の環境に影響を与え、この軽減は極めて重要である。
JAXAでは、特に着陸時の機体騒音低減技術に関する研究開発を行い、飛行試験によりその効果を確かめた。
図5は、実際の飛行試験の際に測定した騒音を可視化した図で、フラップや主脚などの低騒音化の効果がわかる。
図5 音源計測結果<音源マップ>の比較(図はJAXA提供による。筆者が一部加工した)
4. 災害対策
災害時においては、発災後72時間以内の救援活動が何より求められるが、陸上の交通網の機能が低下している場合が多く、航空・宇宙機器の有効活用が重要となる。
JAXAでは、特にヘリコプターによる効率的かつ安全な救援活動を支援する「災害救援航空機情報共有ネットワーク(D-NET)を行っている。
大規模災害発生時には、無線、電話やFAXなどを使って情報が伝達され、その情報は紙の地図やホワイトボードなどを使って共有されていた。
D-NETでは、これらをデータとして通信することにで効率的な情報伝達・共有化を可能にし、航空機による救援活動をより効果的に行うための技術・規格・システムを開発した。
本システムは平成29年7月九州北部豪雨等の実災害でも活用されている。
図6は、JAXAが開発した災害時の情報共有システムである。
図6 JAXAが開発した災害情報入力画面 (図はJAXA提供)
5. 超音速旅客機の開発
超音速旅客機は、コンコルドがなくなって下火になったが、将来再び実用化すべく、世界中で開発が進められている。
超音速旅客機の大きな問題点は、超音速飛行時のソックブームと呼ばれる爆音である。
JAXAでは、その低減技術を開発し、それを適応した試験機による飛行試験が2015年7月にスウェーデン・エスレンジ実験場で行われた。
地上付近の大気乱流がソニックブーム波形に与える影響を避けるために、図7のように、小型気球を用いて、マイクを空中に係留し、高度方向のソニックブーム波形の変化を計測した。
図7 超音速のソニックブーム調査の方法 (図はJAXA提供による。筆者が一部加工した)
図8は、ソニックブームを低減するように設計された試験機で、機体の寸法諸元は、全長7.913m、主翼幅3.510m、主翼面積4.891m2、全備重量は1,000kg、方向舵及び水平尾翼が飛行制御に用いられる。
気球から分離後は、自律的にソニックブーム計測システムのマイク上空を滑空するようにコンピュータが制御する。
高度約30kmからの自由落下によりマッハ1.39、経路角47.5度で滑空させ、発生したソニックブームを、空中のマイクで計測した。
図8 超音速試験機 (図はJAXA提供)
図9は計測結果で、ソニックブームの低減効果が確認された。
図9 ソニックブームの計測値 (図はJAXA提供による。筆者が一部加工した)
- 会社名
- 厚木エレクトロニクス
- 所在地
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