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テクニカルレポート
2019.04.19
シリーズ・さまざまな研究所を巡る(第4回)
日本の航空技術の開発をリードするJAXA(その1)
厚木エレクトロニクス

 

1. はじめに

 

 JAXAの正式名称は、「国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構」であって、宇宙に関する研究だけでなく航空についての研究も活発に行われている。

 今回は、調布にある調布航空宇宙センターを訪問し、航空技術部門 航空プログラムディレクター吉田憲司様に同部門の研究内容を紹介していただいた。

 航空機に関する多くの研究が行われており、今月はエンジン系統の話題を中心に報告し、来月はそれ以外の、航空の安全、環境対策、次世代の航空機など、興味ある話題を取り上げ、2回にわたって紹介する。

 

2. ジェットエンジンの改革

 

 航空機のエンジンは、地球温暖化の対策、環境基準の強化などのため、燃費が良くて、CO2(二酸化炭素)やNOx(窒素酸化物)などの排出量の削減が求められている。

 今後20年間で航空輸送量が約2倍に増加すると予測される中、次世代エンジン技術の開発によって、環境に対する社会的ニーズに対応するとともに、我が国の航空エンジン産業の国際競争力を強化するための研究が行われている。

 

1. ターボファンエンジンの構造

 

 現在の大型ジェット旅客機は、ほとんどすべてターボファンエンジンを搭載している。

 そこで、ごぞんじかもしれないが、まずターボファンエンジンの構造と動作を図1で簡単に説明しよう。

 ターボファンが発明される以前は、歴史的にはターボエンジンであった。

 同図のコンプレッサで空気が30倍ほど圧縮されると、ボイル・シャルルの法則(※註)により約500℃まで高温になる。

 

 燃焼室で燃料ノズルから出た液体燃料(ケロシン)は、蒸発後に高温の火炎と混ざって燃焼し、排気ガスとなって後方へ噴出される。

 この時、タービンも回転させコンプレッサーのブレードを回転させる。

 排気ガスは200m後方でも20m/sec程度の風速で、大気を切り裂く騒音となる。

そこで、図1のように前方にファンをつけたのがターボファンエンジンである。

図1 ターボファンエンジンの構造と空気の流れ

 

 このファンによってエンジンの推力が上昇するとともに、騒音も減少することになった。

 現在実用化されているターボファンエンジンではファンからの推力が大きく、タービンからの排出ガスの数倍以上の推力である。

 

2. ターボファンエンジンの改革


 2016年時点で、日本の航空機エンジン関連メーカーの世界シェアは6.6%弱である。

 図2に示すファンや低圧タービンなどが主な担当となっている。

図2 ターボファンエンジンとコアエンジン(図はJAXA提供)

 

 今後、シェアを伸ばすには、既存の分担分の技術を高度化して競争力を強化するとともに、高度な技術を要するエンジン・コア部に関する技術開発を手掛ける必要がある。

 このため、JAXAでは高負荷圧縮機、リーンバーン燃焼器、高温高効率タービンを開発し、燃費消費量や窒素酸化物排出の低減の研究を行っている。

 

(1) さらなる高バイパス比化のための軽量化

 ターボファンエンジンは、CO2排出削減やエンジンの騒音低減のため、高バイパス比化、すなわちエンジンのジェット部分の空気流入量よりファン部分の空気流入量を大きくする技術がいっそう進むことが予想される。

 図3は、これまでのバイパス比向上の経過と、現在のJAXAの目標である。

図3 これまでのバイパス比とJAXAの目標
(図はJAXA提供による資料に筆者が若干、手を加えた)

 

 高バイパス比化に伴ってファンとそれを回転させる低圧タービンが大型化されて重量増になり、かえって燃費増になる可能性があるので、軽量化技術を導入することが求められる。

 JAXAでは、①ファン空力効率1ポイント以上の向上と、②ファン+低圧タービンの10%軽量化を可能とし、耐久性や信頼性で従来と同等となる高効率軽量ファン技術と軽量低圧タービン技術を開発し、実証試験によりその有効性を確認している。

 

(2) ファンの軽量化


 JAXAの技術実証プロジェクトでは、ファンの軽量化のため炭素繊維強化プラスチックCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)を用いた中空構造のファンブレードの開発が行われた(図4)。

図4 ファンブレードを中空構造で軽量化(図はJAXA提供)

 

 ファンブレードは離陸時の鳥衝突による破損がもっとも危険となるため、鳥に相当するゼラチン塊による高速衝撃試験を行って、そのブレードが十分耐えることが確認された。

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厚木エレクトロニクス
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