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テクニカルレポート
2019.04.19
シリーズ・さまざまな研究所を巡る(第4回)
日本の航空技術の開発をリードするJAXA(その1)
厚木エレクトロニクス

 

3. 航空機の電動化


 自動車が電気で走るようになり、数十年後にはガソリンエンジンはなくなり、すべての自動車が電動化される可能性があるといわれているが、航空機でも電動化が真剣に検討されている。

 電動化の目的は、騒音の低減もあるが、やはり図9のようにエネルギー消費量の削減である。現在、大型の航空機では重量400トン、その内で燃料が150トンともいわれ、東京からニューヨークへ飛ぶと150トンのケロシンが消費されてしまう。

図9 航空機の電動化によりエネルギー消費量が激減する(図はJAXA提供)

 

 これが電動化され、その電気は太陽光や風力など自然エネルギーから供給されると、燃費が節約できるだけでなく、世界の石油消費が減り、CO2排出が削減される。

 電動化の構造としては、図10左のように、電池の電力でモータを回し、ファンを回して風力を得るものである。

 電池は能力の高いリチウムイオン電池を用いたとしても大型機を長距離飛ばすのは無理で、小型機用となるだろう。

 いっぽう、図10右のように、水素を供給して燃料電池の電力を利用すると、水素の量を増やすことにより、飛行距離を伸ばすことができる。また、水素以外に環境に優しいバイオ燃料を用いる案もある。


図10 電動化の構造と、電池だけでは長距離への対応が困難なので、
水素エネルギーを用いた燃料電池などが併用される(図はJAXA提供)


 本格的な大型機も図11に示すような構想があって、図のように後方にファンを並べた構造が考えており、この方が空気の流れが効率的になるそうである。

図11 「高効率発電機を電力源としたハイブリット推進システムのイメージ図」
(図はJAXA提供)

 

 現在のジェットエンジンでこの構造を実現しようとすれば、整備費増に繋がるなどのデメリットが出てくるが、電動モータを使うことによりデメリットを解消することが可能となる。

 

3. まとめ

 

 今月はJAXA航空機関連の内のエンジンに関係した話題を紹介した。

 来月はこの続きで、航空に関連した諸問題の他、超音速機の検討や垂直離着陸機などの話題を紹介する予定である。

 乞うご期待。

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厚木エレクトロニクス
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