
(3) 高圧圧縮機および高圧タービンの高負荷化
高圧圧縮機は、多段の軸流圧縮機に加え、最終段に斜流圧縮機を適用することで、圧力比20以上を目指している。
高圧タービンは図5のような構造で、固定翼(図の静翼)と回転翼(図の動翼)からなり、高圧圧縮機の回転させる駆動力を発生する。
図5 タービンの構造(図はJAXA提供)
航空エンジンでもっとも過酷環境である超高温(1600℃)に曝される高圧タービンへの適用を目標に、長時間高温耐酸化性能を有する耐熱複合材料を検討している。
その材料として、高耐酸化耐熱性のセラミックス基複合材料を適用した冷却設計技術の開発を進めている。
特に長期にわたり高温過酷環境下で使用される高温大気中疲労寿命の向上に主眼を置いている。
シンプルな冷却構造の適用により複雑な冷却機構を必要としなくなるようなタービン翼の開発を目指してしている。
(4) タービン材料の変革
航空機エンジンの更なる軽量化と高推力化のため、燃焼ガスで駆動する高圧タービンの構成材料を、現在のNi基耐熱合金(密度8g/cm3程度)からSiC繊維/SiC複合材料などのセラミックス基複合材料CMC(Ceramic Matrix Composites、密度2?3g/cm3))に置き換えることを目指した研究開発を行っている。
CMC製タービンの実用化にあたっては、さらなる高強度化、耐酸化性の向上、低コスト化、超高温での変形挙動のモデル化など、解決しなければならない課題が数多く残されている。
JAXAでは、CMCの超高温での耐久性や変形挙動を予測するための解析モデルを構築するとともに、必要となる超高温材料試験装置の開発や試験方法の標準化(JIS規格化及びISO規格化)を進めている。
図6は、その試験装置である。
図6 SiC/SiCの超高温引張試験で使用する加熱炉付材料試験機(図はJAXA提供)
(5) リーンバーン燃焼でNOx対策
ジェット燃料(ケロシン)を燃焼する時の燃料対空気の比が約1:15ならちょうど完全燃焼になるが、それより空気を多くした燃焼(希薄燃焼)をリーンバーン(Lean burn)とよんでいる。
従来のエンジンではリーチリーン燃焼器が使われていて、高濃度の燃料ガスを燃焼させた後に急速に冷却空気と混ぜるが、その境界でNOxが多量に発生する。
リーンバーン燃焼器では燃料ガスと空気を混ぜた後に燃焼するので、燃料リッチな部分がなくて高温にならず、NOxの発生が抑えられる。
図7はリッチリーン燃焼器とリーンバーン燃焼器を比較した概念図である。
図7 リッチリーン燃焼器とリーンバーン燃焼器の概略図(図はJAXA提供)
燃料と空気の比率と火炎温度の関係は図8のようになっており、空気の比率を大きくするほど火炎温度が低くなり、NOxの発生が少ないので、リーンバーンではNOx発生が従来以上に抑えられる。
図8 燃料と空気の混合比と火炎温度、NOx発生量の関係(図はJAXA提供)
JAXAではすでに産業界と連携してリーンバーンを可能とする燃焼器の研究開発が進められており、研究室レベルでは多くのデータが蓄積されている。
今後は実用化を目指したJAXAの技術実証プロジェクトを通して産業界の実力が向上することが期待される
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- 厚木エレクトロニクス
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