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スペシャルインタビュー
2024.04.15
生産設備や生活の安全/安心の向上に貢献する3次元計測/評価システム
〜非破壊による計測から供用適性評価まで一貫して実施〜
株式会社 セイコーウェーブ
代表取締役 新村 稔 氏

3次元計測装置の開発と販売を目的とした専業メーカーとして事業を展開する株式会社 セイコーウェーブ。今回は、同社を設立した経緯と事業の概要、主力となる3次元計測装置やそれに使用されるソフトウエアの特徴などについて、代表取締役 新村 稔 氏にお話を伺った。

 

■御社を設立された経緯や御社の概要などについてお聞かせください

 

新村 : 当社は2010年4月、3次元計測装置の開発と販売を目的とした専業メーカーとして、日本とアメリカにそれぞれ法人を設立しています。創業メンバーは私とアメリカ人2名の3名で、当初日本法人には私とアメリカ人1名の2名がおりましたが、のちにアメリカの方へ戻っています。

そのアメリカに戻られた方とは、以前から知り合いで同じ会社にも勤務していたことがあり、その後私が個人事業主をやっていた時に、その方から一緒に会社を起ち上げないかと誘っていただいたことが、最初のきっかけになっています。また、その方は光学関連に精通し、「光のパターンを出すことで3次元の計測ができる」という内容の研究を長期にわたり行っており、その研究に関する優れた技術をアメリカにあるケンタッキー大学の教授がもっているということから、彼にもメンバーになってもらうことで当社の設立に至っています。

そのため、当初アメリカの法人はケンタッキー大学内のインキュベーションに拠点を置いていました。

そして、日本とアメリカの法人が共同で3次元計測装置の開発に取り組み、日本では私が電気回路やケーブル関連の設計を行い、光関連を担当するエンジニアが光学設計を行っていました。アメリカでは、ケンタッキー大学が開発した3次元のアルゴリズムを当社のエンジニアがソフトウエアに起こし、メカの部分も担当していました。

それにより2011年には、プロトタイプの3次元計測装置を開発しています。ただ、どの市場をターゲットにビジネスを展開していくのかというビジョンが、まだしっかりと定まっていなかったため、日本とアメリカの関連する展示会に出展し、様々な市場の要望をリサーチしていきました。

その中で、将来的に市場として一番伸びると感じられたのが、非破壊計測の分野でした。特に、パイプライン等の地下埋設物における腐食の計測と評価に対し、非常に大きなニーズがあることが分かりました。そのきっかけになったのが、アメリカの石油メーカーであるシェブロン社からのニーズで、同社から製品の開発費用と当社株式への投資をいただき、最初のモデルとなる3次元計測装置を開発し、販売を開始しています(写真1)。さらに、その後3、4年間は同社の要望に沿った製品開発を日本とアメリカで進めていました。

写真1 第一世代モデルの3次元計測装置『3DSL-LCG』

 

また、地下埋設の配管だけでなく、工場の配管や圧力容器などの腐食の計測/評価にも応用できると考え、石油製油所や石油化学メーカーの工場などの設備保全部門に、ワールドワイドでビジネスを展開していきました。それにより、徐々に当社製品の良さを理解していただき、採用されるようになっていきました。

しかし、販売台数はそれほど伸びず、お客様の数は増えていったのですが、1社で1台か2台の導入でした。その理由は、アメリカの石油学会や機械学会では腐食をもった配管や圧力容器などに対し、安全に使用するための規格が定められており、それをしっかり理解したエンジニアでないと使いこなせないという問題がありました。その規格の普及がアメリカではなかなか進まず、それを理解しているエンジニア自体も少ない状況でした。

日本でも、その安全規格を最初に取り入れたのは一般社団法人日本溶接協会(以下、日本溶接協会)で、2015年に同協会の規格として定められました。そのような状況だったので、我々も10年近く普及活動に苦労していましたが、ようやく2023年に経済産業省からその規格が正式に認可されました。それにより、日本でも徐々に石油化学分野への展開が進み始めています。

また、石油化学分野以外でも、橋梁の検査や様々なシーンで使われるコンクリートの品質検査など、色々な分野へ応用していく活動も推進しています。

そして、2023年10月にアメリカにある法人が別の企業に吸収合併されたことで、現状の法人は日本のみになっています。

会社名
株式会社 セイコーウェーブ
所在地
東京都立川市