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スペシャルインタビュー
2022.06.20
生産性向上に寄与する精度と速さを追求した計測機器スケール
〜3つの製品群で事業領域の拡大を目指す〜
株式会社 マグネスケール
代表取締役社長 藤森 徹 氏

■御社の事業展開などについてお聞かせください

 

藤森 : 当社は、大きく分けて3つの製品カテゴリにより事業を展開しています。

1つ目は、創業時から続く磁気式のマグネスケールを中心にした工作機械業界向けの製品で、オイルやクーラントが充満する過酷な環境下でも安定した計測を可能にします。

2つ目はレーザ光源を使用したレーザスケール事業で、その分解能はナノメートルを超えピコメートルを実現し、主に半導体や液晶製造装置向けに使用されています。次世代の装置に必要とされる分解能や性能を先取りする形で開発を行い、最先端の計測や位置決めに貢献しています。

そして3つ目はマグネスケールの技術を応用した磁気式の測定器となるデジタルゲージとそのシステムで、特に自動車や電子部品の品質管理のための精度測定とそのデータ処理に使用されますが、IoTが急速に進む中、品質管理の自動化も進み、その需要が一段と加速しています。

これら3事業の売上比率は、レーザスケールが51%、マグネスケールが38%、デジタルゲージが11%です。私達は、やみくもに事業分野を広げるのではなく、今もつコアテクノロジーの領域の中で一番効果的な位置情報やデバイスの提供を行っていきたいという思いがあります。「測定」はものづくりにおいて欠かすことの出来ない工程であり、これを行わないと何も始まりません。「測定」をすることにより製品の実力を知ることができ、不良品の削減にも繋がりますし、不良を出さないことは地球資源を無駄にせず、地球環境の保全にも貢献できると考えます。

年々、工作機械の加工精度・速度が向上しており、それを先取りする製品の開発を行っております。しかし、どんなに細かく位置情報を検出したとしても、その情報を伝える応答速度が遅ければ意味がありません。速く動かし正確に止める、あるいは正確な位置情報をすばやく伝達するということを“SPEED × PRECISION”というキャッチフレーズにして製品開発を行っています。またこのキャッチフレーズは製品だけでなく、社員の働き方にも通じるところがあり、会社全体のモットーにしています。

 

■事業の柱となる製品群の中から、現在注力している製品についてお聞かせください

 

藤森 : まずは、悪環境に強い磁気式のマグネスケールをさらに進化させ、エアパージ不要の位置検出を可能にした『SmartSCALE(スマートスケール)』を紹介します(写真1)。この製品は、スケールと検出ヘッドが分離構造になっており、それぞれ保護等級IP67の防塵・防水性を実現しています。耐環境性に優れているため、工作機械に多く使用されますが、近年、加工工場では工場内エアーの削減が要求されており、エアパージを不要としたスマートスケールは省エネスケールとしても採用が増えています。

写真1 高精度マグネスケール『SmartSCALE』

 

次に、超高精度、超高分解能が特長のレーザスケールを紹介します(写真2)。この製品は、最先端の半導体製造やカメラのレンズをはじめとする光学部品の高精度金型加工機などの分野で活躍しています。新製品のリニアエンコーダシステム『BL50H』は分解能6.1ピコメートルでありながら毎秒5メートルの応答速度を実現しました。ハイエンドな工程だけでなく、半導体製造プロセス全体に広く使用できる製品として企画しました。

写真2 超高精度レーザスケール

 

3つ目の製品として、「長さ」の国家標準にトレーサブルなデジタルゲージを紹介します。マグネスケールの検出技術による優れた耐環境性に加え、独自機構による高剛性の摺動を実現し壊れにくく悪環境に強く正確な位置検出を行います(写真3)。先程紹介したようにIoT化にも対応するため様々なオープンネットワークインタフェースを用意しています。今後はさらに増加するデータ収集に対応するシステムやソフトウエアを含めた対応を強化していきます。

写真3 デジタルゲージ

 

最後に、工作機械など回転軸の校正を容易に行うための自己校正型高精度ロータリエンコーダを紹介します(写真4)。このエンコーダは産業総合研究所からの依頼がきっかけで生まれましたが、取り付け時の偏心誤差や周期的な誤差を自分自身で計測して自己校正することにより、一周当たり±0.2角度秒以内の高精度を実現するものです。このエンコーダを基準に装置のエンコーダを校正すれば、手軽に装置回転角の精度向上が図れます。この製品は2018年度の精密工学会技術賞を受賞しました。

写真4 高精度ロータリエンコーダ

会社名
株式会社 マグネスケール
所在地
東京都江東区