メンテナンスやサポート事業をメインにしていた技術集団から、自社オリジナル製品を開発/販売するメーカーとして変貌を遂げたオーセンテック株式会社。今回は、同社の概要と現在展開されているオリジナル製品の開発背景や取り組みなどについて、代表取締役 髙田 全 氏にお話を伺った。
■御社を設立された経緯や概要などについてお聞かせください
髙田 : 当社は2002年8月15日に設立し、昨年20周年を迎えました。元々、アンリツ株式会社(以下、アンリツ)のタレットパンチプレス事業の撤退がきっかけとなり、当時アンリツのセールスマンであった私の父である当社の現会長と、同じくアンリツのサービスマンであった方々が独立し、4名で立ち上げた会社になります。
そのため設立当初は、アンリツ製タレットパンチプレスのメンテナンス/サポートがメイン事業になっていました。当時、500台程の機械が稼働しており、そのメンテナンス/サポートを担っていました。また、機械の買い替え時には、代替となるパンチプレスやレーザ加工機といった工作機械を色々と探し、提案するようなビジネスも行っていました。
ただ、徐々にメンテナンス/サポートする台数も減ってくる中で、新たな事業にも目を向けなくてはならない状況になっていきました。そこで、今まで代替となる工作機械を提案していた経験を活かし、お客様の困りごとにポイントをおき、それを解決するための製品を提案する販売代理店的なビジネスにも力を入れていきました。
その中で、お客様が特に困っていたのは手作業で行うバリ取りだったため、それを自動で行うバリ取り機を海外から輸入して販売を行いました。実際に開始後1、2年で、かなりの台数を販売しましたが、この機械がヨーロッパ製だったため、日本での使い勝手やメンテナンス性などで生じる問題もありました。
そのような日本国内での問題をヨーロッパのメーカーにフィードバックしたのですが、やはりそう簡単には受け入れてもらえない状況でした。そのため、自社で開発していくしかないと判断し、自社オリジナル製品の開発に着手していきました。
そして2009年に、自社のオリジナル製品第一号となるバリ取り機『AuDeBu 1000(オーデブ 1000)』を開発し、販売を開始しています。この“AuDeBu(オーデブ)”という自社のオリジナル製品ブランドは、「Authentec Deburring machine(オーセンテック製バリ取り機)」から生まれた造語になります。2023年に「AuDeBu」の表記を「AUDEBU」に改めるなど、ロゴマークを刷新しました。ちなみに、ロゴマークのアルファベット上部にあるモチーフは、オーセンテック(A)とお客様/ユーザー(U)を繋ぐ「懸け橋」を意味しています(写真1)。
その後も、製品ラインアップを徐々に増やしながら事業を展開し、2012年には神奈川県高座郡寒川町に神奈川テクニカルセンターを開設しています。2013年からは国内だけでなく、ニュージーランドやフィリピンといった海外にも進出していき、私自身も同年に当社に入社しています。
2015年には、タイ、インドネシア、ベトナムにも進出し、海外展開も徐々に拡大していきました。さらに、2017年に業務拡張のため、神奈川テクニカルセンターを神奈川県相模原市緑区に移転しています。
そして2018年には、父が代表取締役会長に就任し、それに伴い私が代表取締役社長に就任しています。また、この頃からバリ取り機だけでなく、洗浄機の販売も開始しています。
元々、当社のモットーは「製造業の手作業をなくそう」だったので、大手メーカーが参入しないようなニッチな分野をターゲットに製品化を目指し、バリ取り機の次に目を付けたのは洗浄機でした。拭き工程は様々なシーンで発生し、皆さん非常に苦労されていたので、我々が名乗りを上げて開発自体は2015年頃からスタートしました。
このように当社は、タレットパンチプレスのメンテナンス/サポートを行う技術集団から、現在では自社オリジナル製品を開発/販売するメーカーとして、お客様の声に耳を傾けながらビジネスを展開しています。
■御社のオリジナル製品について、開発背景や取り組みなどお聞かせください
髙田 : 当社の製品に対して、お客様から「目の付けどころがいいよね」とよくいわれますが、決して我々が優れているというわけではなく、お客様が困っていることをただ製品にしているだけで、それが売れる製品であることが分かったというのが本当のところです。そのため、製品に関するアイデアなどは間違いなくお客様からの情報であり、それに対して如何に製品化できるかということが、我々の技術力でありポイントになっていると思います。
その中で当社は元々メンテナンス会社だったので、他のメーカーと根本的に違うのは、設計思想がそもそも現場に負担の少ない「壊れにくい機構」になっていることです。また、もし壊れたとしてもお客様サイドでメンテナンスが可能な機構に設計しているため、復旧に長い時間を要さないことです。
メンテナンス事業が主体だった頃は、修理などを行わないと事業が成り立ちませんでしたが、やはり時間も費用も掛かるので、自社でメジャーな製品が出てくると壊れてお客様に迷惑や負担を掛けるよりは、壊れないような良い製品を少しでも長く使ってもらいたいと考えるようになったことが、大きな違いになっていると思います。
あとは、お客様からの新しいアイデアを製品化したいと思った時に、良い意味で我々はファブレスなので、自分達の設備ありきで物事を考える必要がなく、その設備をもった会社とタッグを組めばある意味無限の可能性が広がり、それが我々の強みでもあると思っています。基本的には、ある程度の試作品レベルまでは当社が組み上げていき、そこから協力会社と協議を重ねて製品に仕上げていく流れになっています。
このような取り組みを進めながら、現状ではバリ取り機、洗浄機、そしてこれら製品に関連する手作業を自動化するためのロボット事業に、力を入れています。
- 会社名
- オーセンテック株式会社
- 所在地
- 神奈川県相模原市南区
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