製造ラインのロボットシステムや製品組み込みロボットシステムの設計/開発/製作、ワンオフの専用機の設計/製作で事業を展開する株式会社 Zen-Sai。今回は、同社の概要と事業展開、また自動化に向けたロボットシステムの概要と導入事例などについて、代表取締役 五十嵐 俊昭 氏にお話を伺った。
■御社の概要や設立された経緯などについてお聞かせください
五十嵐 : 当社は、2021年4月に設立しています。事業内容としては、ライン全体、製品ストーリー全体から適したロボットシステムの提案や、システムの構想立案、仕様策定などを行っています。
事務所は、現在の所在地である東京都小平市に設置しており、小型の装置であれば、こちらの事務所内で設計から組み立てまですべて行い、検証についても行っています。大型の装置に関しては、設計とパーツとなる小型のモジュールをこちらで製作し、お客様の現場で組み立てや検証などを現状行っています。
私自身、以前は大手印刷会社に勤務しており、生産技術の現場で主に社内の自動化に取り組み、ロボットを活用した新しい装置などの開発に携わっていました。そして、その知識を活かして前職ではロボット関連のベンチャー企業に転職し、ロボット開発の知識をさらに深めていきました。
そのような中で、自動化に向けたロボットシステムの導入は、生産技術に強い大手メーカーなどにおいての導入が中心で、大規模に生産を行わないような中小企業などでは、「自動化したいけれど、どこから手をつければよいのか?」、「ロボットが色々と注目されているけど、どのように利用すればよいのか?」といった考えをもっている会社があることを知りました。前職のベンチャー企業では、食品関連会社との取り引きが中心でしたが、食品業界以外の分野でも同じような考えをもつ会社があるように感じていました。
そこで、「ロボットを使って色々とやりたいことはあるけど、どこに相談すればよいのか?」といった会社に対し、食品業界だけではなく業界を問わず、新しい自動化に向けた装置やロボットを活用した装置を提案していきたいと思い、独立して当社を立ち上げたのが起業の経緯になります。
ただ独立してからも、前職のベンチャー企業とのお付き合いを継続させていただいているので、それにより起業当初から食品業界のお客様に対しての提案が多い状況ですが、様々な分野の関連する展示会にも積極的に出展しており、幅広い分野のお客様に会う機会を少しずつ増やしています。最近では、今年の6月に開催された“ものづくりワールド2023”内の『機械要素技術展』に出展し、「協働ロボットによる3次元3Dマーキング装置」の参考出品を行いました(写真1)。
展示会場では、多くの来場者の方が当社のブースにお立ち寄りいただき、色々と貴重なお話が伺えました。
このように、現状では食品業界でのビジネスが中心になりますが、展示会の出展による幅広い分野へのビジネス展開も模索しており、あとは商社との取り引きもありますので、そちらからビジネスのお話をいただきながら事業を展開しています。
それから当社の社名についてですが、“Zen-Sai”は「全体最適」の略称として私が付けました。これは、以前私が大手印刷会社の生産技術の現場に従事していた頃に感じたことで、1つの工程で最適化を図っても全体の最適化に繋がるかというと疑問が残ります。やはり、ラインとして全体を見ていかないと本当の最適化には繋がらないと思うので、「俯瞰した目で見ていこう」という意味合いをもっています。
私たちは、装置単体で全ラインを手掛けるわけではありませんが、お客様から「ここの工程のここの部分を最適化したい」といわれた時に、指定された仕様だけでこれをつくりましょうという提案ではなく、基本的に前工程と後工程を見た中で、仕様を変更してもらうことにより前後の流れも良くなるケースもあります。そのような、ソリューション的なことも含めてしっかり提案していくため、「全体最適」を忘れずに意識しながらやっていこうという思いが込められています。
■御社におけるロボットシステム導入までの流れについてお聞かせください
五十嵐 : 当社では、ロボットシステム構築の流れについて定型化されており、その流れに沿って進めています。基本的には、ヒアリング/情報整理、要件定義/構想策定、見積まで無償にて対応しています。
まずヒアリング/情報整理では、面談を行ってお客様の達成したいことをお聞きします。この段階で詳細な情報は必要なく、このようなことを自動化したいという程度で構いません。その後に必要となる情報を私たちの方から指定されてもらい、用意していただきます。
次に要件定義/構想策定では、整理した情報から解決手段を検討し、ロボットシステムの構想を提案します。また、システム構築までの実施計画を作成していきます。そして、構想をもとに要求される仕様を定めていき、システム全体と処理の流れを、信頼性/利用性/保守性/復旧性の観点から精査します。
見積では、決定した要件から基本設計を行い、見積書を作成し、提出します。費用対効果の観点から、仕様の変更を行い予算をすり合わせていきます。
そして、発注をいただいた後は詳細設計/製造を行い、システムを構築していきます。システムの構築後、納品前に立ち合いテストを行い、仕様を満たせているかを確認し、確認後にシステムの納品/立ち上げを行います。
またアフターフォローとしては、システム稼働後の定期点検を行い、不具合がある場合は修正を行います。さらに、追加機能の要望などにも柔軟に対応することが可能です。
これが、当社におけるロボットシステム導入までの一連の流れになります。
- 会社名
- 株式会社 Zen-Sai
- 所在地
- 東京都小平市
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