■では、大きなラジコンカーを開発された背景やそこから発展したビジネスについてお聞かせください
古澤 : 我々の開発したセキュリティシステムを国内の様々な場所に設置し、事業としてある程度落ち着きを見せた頃、次の事業展開として私の中では、これからのセキュリティシステムは据え置きタイプのものではなく、動くロボットタイプのものが主流になってくると思っていました。ただ、先程もお話しましたが、我々にはロボット開発のノウハウがなかったので、どのように準備すればよいのか色々と考えました。
そこで目を付けたのが、私が子供の頃に没頭していたラジコンカーでした。それは、当時操作していた小型のラジコンカーではなく、実車に近い1/5スケールの大型ラジコンカーで、耐久性に強い情報を世界中から収集し、6時間耐久レースを走り切るタイヤは構造やゴムの研究から始め、最終的には特許を取得しています。このように、材料やガソリンエンジン以外のパーツは、すべて自社で設計/製造しました。
そして、3年程の歳月を経て2005年3月に発売したのが、2サイクルガソリンエンジンの1/5スケール車『520Z』です(写真1)。これにより、スケールスポーツ事業をスタートさせ、実際の運営は子会社である株式会社エフ・プランニングが担っています。また、同年12月には、4サイクルガソリンエンジンの1/5スケール車『524R』を発売しています(写真2)。
しかし、スケールスポーツは国内のサーキットを賑わせることができましたが、実際に購入するのはラジコンや模型愛好家などの一部の人達で、趣味の世界から出ることは難しいように思われました。ところが2010年3月、『524R』が「第6回 川崎ものづくりブランド」に認定されたことで、一気にその製品価値が上がりその情報が神奈川県下で広がっていきました。
それにより、「大型ラジコンカー製作教室」といったものづくりを教えるイベントなども開催するようになりました。また、そういった教室を実施することで、我々の信頼性や知名度なども向上していきました。
そのような中、ある物流会社から「かご車を引っ張るものをつくってほしい」という依頼を受けることになりました。始めはどういうものかイメージできませんでしたが、実際にその物流会社を見学にいくと、世の中にあるスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどに商品がきっちり収まっている理由や、物流会社がこの国になくてはならない存在であることを私自身初めて知りました。
その現場では、「かご車」と呼ばれているものに、各店舗に納品される商品が色々と混載されており、それを作業員がトラックまで押している状況で、これを自動でトラックまで運ばせたいというのが依頼の内容でした。そこで、大きなラジコンカーを開発した技術力やノウハウを活かし、物流倉庫向け台車ロボットの開発に着手していきました。
さらに今年の3月、静岡県裾野市に自社のサーキット場をオープンし、大型ラジコンカーの走行も実施していますが、台車ロボットの開発に向けた長距離走行テストなども行っています(写真3)。
- 会社名
- 株式会社 三矢研究所
- 所在地
- 川崎市麻生区
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