1.はじめに
コロナ禍も3年目に入り、各国・地域で状況に応じて、程度差はありながらもそれぞれ対策が依然施されており、終わりが完全に見えるには至っていない現時点である。この環境の下での需要活況を受けて、世界半導体販売高は、2021年が$555.9 billion(米国・Semiconductor Industry Association[SIA])発表)と、従来の最高である2018年の$468.8 Billionを大幅に上回った。増加基調が2022年前半は続いていたが、パソコン、スマホ市場の低迷が顕在化してきて、7月以降の後半は伸び率、そして販売高と低下してきており、2021年をさらに上回ると見られていた2022年販売高に陰りを生じて、予断を許さない現状である。
米中摩擦、そして世界的な半導体不足が依然引き続く中、米国国内の半導体製造の強化を目指す法案、$52 billion CHIPS Actの米国議会での推進が行われ、上院および下院の間での調整を経て、やっとこの8月にBiden大統領が署名して成立している。米国勢に加えて韓国、台湾などの各社の今後の米国新工場建設の進展に注目である。上海の都市封鎖(ロックダウン)、そしてロシアのウクライナ侵攻と、半導体関連市場にも深刻な波紋が生じているこの1年でもある。経済安全保障の中核の1つとしての半導体の位置づけが一層高まって、世界の政治&経済情勢を敏感に映し出す動きを示している。この1年の半導体市場の動きを振り返り、続いて、先端実装に関係する内容、推移をジャンル分けして示していく。
2.半導体市場のこの1年
2021年10月から2022年9月までに主に注目して、半導体市場の動きを取り出していく。以下、それぞれの時点でのあらわし方である。
■ 2021年10月
・TSMCの熊本新工場、2022年着工、2024年稼働、と表明
・先端<10-nmの6割強が台湾:IC Insights調査
・Apple、Google、中国勢と、IT大手の自前設計開発が本格化
■ 2021年11月
・米国政府の各国・地域に対する半導体supply chainに関する情報提出の要求
・韓国政府の通商トップが米国商務長官と直接接触するなど連絡強化の動き
・各国・地域それぞれの経済安全保障推進&確保に向けた軋轢、動き
・日本政府が、先端半導体工場に6000億円の予算計上
■ 2021年12月
・新型コロナ、南アフリカ発のオミクロン型の懸念から各国に拡大
・インテルのCEO、Pat Gelsinger氏の発言”台湾は安定したところではない”から台湾と応酬に
・セミコンジャパン、2年ぶりリアル開催
・半導体関連市場は非常に旺盛な需要が見られている状況
■ 2022年1月
・世界全体の新型コロナウイルスによる累計感染者数、3億人突破、新規感染過去最高
・TSMCおよびSamsungの2021年最高業績発表
・インテルが米国・オハイオ州に$20 billion新工場建設をホワイトハウスにて打ち上げ
・NvidiaのArm買収、AMDのXilinx買収それぞれの提案
■ 2022年2月
・世界全体の新型コロナウイルスによる累計感染者数、4億人突破
・米国議会下院が、先端技術の競争力向上を目指す包括法案を可決、$52 billion CHIPS Act進展
・NvidiaによるArm買収が、米英独禁当局の反対で中止に
・EUが、世界シェア20%を目指す「欧州半導体法案」を公表
・米国・SIA発表、2021年年間半導体販売高が$555.9billionと、史上最高更新
・ロシアのウクライナ侵攻、半導体はじめ技術輸出の対ロシア規制、ネオン、パラジウムの懸念
■ 2022年3月
・半導体関連市場でも続くロシア制裁&ウクライナ支援に関係する動き
・アップルの「iPhone SE」、新PC「Mac Studio」発表、独自開発の新たな半導体「M1 Ultra」
・インテルの向こう10年を見据えた欧州での$88 billion規模の工場&拠点計画
・Nvidiaが、次世代GPUアーキテクチャー、Hopperを披露
■ 2022年4月
・世界全体の新型コロナウイルスによる累計感染者数、5億人突破
・上海の都市封鎖(ロックダウン)で深刻な波紋、西安でも移動制限
・半導体人材&技術を巡り台湾と中国の間での軋轢
・ロシアでは、半導体国産化の計画線表、インドでは、国内半導体製造に本格的に乗り出す動き
■ 2022年5月
・中国での上海など都市封鎖(ロックダウン)からくる消費下押し懸念
・台湾への過度な依存のリスクが、複雑な地政学リスクとともに取り沙汰
・国益を支える1つ、半導体を政府が引っ張る動きが、我が国はじめ各国で
・我が国で、半導体などの供給網構築、先端技術の確保に取り組む経済安全保障推進法が成立
・Biden米国大統領の日韓訪問、最初の韓国到着後すぐSamsungの平沢市半導体工場訪問
■ 2022年6月
・上海も封鎖が解除、我が国も入国制限が緩和
・インテルが、Samsungを電撃訪問、ソウルでのトップ会談、事業協力の協議
・米国での入国時コロナ陰性証明不要
・パソコン需要鈍化への警戒がインテル、AMDから
・米中摩擦の狭間の台湾、前例のない規模の投資打ち上げ
・3-nm量産、2-nm視野の先陣をTSMCと競うSamsung
■ 2022年7月
・我が国でも感染再拡大、「第7波」対応に追われる状況
・世界半導体販売高、前年同月比20%以上増が13ヶ月続いたが、ここにきて割り込み
・Micronが非常に好調な第三四半期(5月締め)に対し、第四四半期の売上げ急落予想
・米国半導体支援法案、27日上院でやっと可決、翌28日下院でも可決
■ 2022年8月
・新型コロナ、我が国での新規感染1週間累計、世界最多に
・米国半導体支援法案、CHIPS and Science Actに、Biden大統領が8月9日署名、「一世一代」の投資と強調
・インテルが、Arizona州の新工場に向けてカナダの投資会社との共同出資、そしてHot Chipsでは次世代プロセッサ高性能化に向けたチップレット技術プレゼン
■ 2022年9月
・世界全体の新型コロナウイルスによる累計感染者数、6億人突破
・米国の対中国、対ロシア、ハイエンドGPUs販売制限
・2022年7月の世界半導体販売高、2021年11月以来 の$50 billion割れ、先行き警告
・米国CHIPS Actの施行に向け、インテル、マイクロンの新工場起工
2022年の世界半導体販売高は、年間史上最高を大きく更新した2021年を上回れるかどうか、2021年と対比しての表1の見方を行っている。
本年、2022年5月に$51 billion台後半高めにつけ、月次最高を更新するまでは上り調子であったが、6月ではついに減少に転じ、前年同月比の伸びも13%台と大きく落としている。そして7月は、さらに落として、前年同月比がついに一桁%、8月は0.1%と、後がなくなっている。前月比も、6月からマイナスとなり、8月は3.4%減と、2019年2月の7.3%減以来の大きな減少である。本年、2022年の9月から12月の4ヶ月で販売高合計が$140 billionを越えられれば、年間販売高が2021年を上回って、史上最高を更新することになるが、今後に注目するところである。
先行きの市況低下懸念に向けて、各社は新機軸を打ち立てて、新技術&新製品の打ち上げが盛んに見られてきている。激しく変化する世界の政治&経済情勢を一層強く映し出す半導体市場となっており、各国・地域の対応および推移に目が離せない現状である。
- 会社名
- Gichoビジネスコミュニケーションズ株式会社
- 所在地
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