3.評価試験の実施
プリント配線板の品質確保のためには、あらかじめ評価試験を実施するべきである。この作業を実施することにより、『目視(画像)』で判定することが難しい不具合の発生リスクを低減することが可能になるからである。工程における作り込みや材料の品質を確認するために評価試験は欠かせないものである。
試験項目の詳細を表1に示す。表1の1に示す項目は一般的な評価試験である。通常は必要な項目を個別に選択して実施するとよい。実際の試作品によって評価するべき項目は、表1の2に記載している。評価条件は搭載される製品の用途や環境に従って個別に設定する。
表1-1 プリント配線板の信頼性に求められる性能
表1-2 評価試験サンプルによる信頼性評価項目
そして実施結果によって監査先企業の品質評価を実施することになるが、評価用の回路を設定すると試験結果を判定する際に相手先による品質の高低を判定する基準とすることが可能となる。表1-3は、フレキシブルプリント配線板の評価試験の一例であり、試験方法の詳細および合格の基準についてもその一部を掲載する。
表1-3 FPCの評価項目
不具合の実際
1.スルーホールの品質問題
スルーホールの品質管理項目はプリント配線板の品質を左右するものである。スルーホールの品質を維持するためには、材料の保管条件、個別工程における工法、治具や薬品の管理など確認事項が多岐にわたっており、前述のように実際の工程と製品の品質を管理することが欠かせない。
スルーホールの品質問題は突発的なものではなく、起こるべくして起こるものである。さらに、導通検査(電気検査)をパスしても経時変化による不具合というリスクも包含している。
まず、スルーホールの不具合について、発生部位による呼称を図2にまとめる。
図2 スルーホールの不具合
①コーナークラック
スルーホールの表層部分のコーナーで発生するクラックである(写真1)。プリント配線板の膨張と収縮サイクルにおける応力がストレスを与えるために発生リスクが高い部位であるが、ソルダリングが引き金になる場合もある。めっき厚の管理が特に重視される部位である(めっきの厚さの規格についてはJIS規格を参考にしていただきたい)。社内規格においては20μmが一般的なめっき厚さの基準となるが、ロットごとのばらつきを管理することが必要である。
②バレルクラック
スルーホール内部で発生するクラックである。写真2のようなスルーホールではクラックにとどまらず、複合的な不具合が発生する場合も報告されている。
写真1 コーナークラック
写真2 バレルクラック
③フォイルクラック
写真3 フォイルクラック
多層プリント配線板においてスルーホールと内層回路の接続部分で発生するクラックである(写真3)。
以上のスルーホールクラックは目視(画像)で判別することは不可能であるが、工程や管理項目を確認することでリスクを未然に防止することは決して不可能ではない。
- 会社名
- PCB Express
- 所在地
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