4. フリップチップFC実装
●写真10はLEDダイ自身に反射層を設け、上面金属電極を廃止し、上面電極をビア16個で接続した初期フリップチップFC構造の2006年頃における高性能5W対応デバイスである。
フリップチップ化により、1.7倍、上部電極構造変更で1.4倍明るくなり、光取り出し効率が大幅に改善されたと報告されている。
LED上に25個のスタッドバンプを打ち、平滑度、膨張係数で都合の良い、6角形シリコンインタポーザの上に日本がリードしている低温超音波フリップチップ実装設備で金‐金接続を行っている。
6角形のシリコンインタポーザの切り出しは、ステルスダイシング技術である。
シリコンインタポーザと外部リードはワイヤボンディング接続。
●写真11は、さらにコスト対応、高性能高輝度を得るため、フリップチップFC実装技術が進化したもので、36個のスタッドバンプによる超音波フリップチップ接続、フィラー入りアンダーフィル後に、レーザリフトオフ法でサファイアを除去、発光面の表面を荒らしてから蛍光体プレート搭載、さらに蛍光体側面に白色樹脂フィレット形成まで行っている。
スタッドバンプは途中から、LEDウエハ側ではなく、アルミナ系セラミック基板電極側に打たれている。
一部では、2色・2層の蛍光体プレートも使われた。
●写真12は、さらにマルチ4ダイFC実装が行われ、放熱性改良のため、窒化アルミAlN基板上に、計146個(36x4+2)のスタッドバンプを使ってフリップチップ実装されている。
5. 窒化アルミAlN基板
写真12、●写真13のような高輝度高出力になると、熱対策のため、基板もアルミナ系セラミックではなく、熱伝導の良い日本の窒化アルミAlN材を使った台湾製基板が採用されている。
AlNは熱的には素晴らしい特性を示すが、車載関連のパワーデバイス用途には、耐衝撃性などの問題で窒化ケイ素SiNが使われる。
6. シリコーン材料とモールド方式
シリコーン樹脂はエポキシ樹脂に比べて、透明性、耐黄変性に優れ高輝度LEDに採用されている。
屈折率がより高く、耐黄変性に優れ、ガスバリア性の高いシリコーン樹脂を日本メーカーがLED用に開発してきたことは、LED照明の普及に大きく貢献している。
写真10の世代までは、プリモールドされたドーム型透明キャップをゲル状シリコーンで固定していたが、その後継機種(●写真11)からは、シリコーン樹脂封止と同時にレンズ形成できるフィルムアシスト・コンプレッションモールド技術を採用し、低コストで光を前に出すことができた(●写真13)。
シリコーン樹脂、コンプレッションモールド装置、離型フィルムも日本の得意技術が多く採用されている。
7. High Voltage(HV) LED/オンウエハ クラスタセル
欧州でよく見かけるキャンドルタイプ電球では暖かい色を出すため、1つのセラミックパッケージの中に、オンウエハ16直列接続赤色クラスタアレイLEDダイ2個と25個の青色LED素子がウエハ上で直列接続されたHV LEDクラスタアレイ(白色部)2個を配列している(●写真14)。
LEDへの印加電圧が高いため、電源回路がよりシンプルになり、白熱電球とほぼ同じ大きさの電球形状で小型化された。
オランダの技術者とマーケティング担当の照明へのこだわりで、ワインを飲みながらの技術討論が聞こえてきそうな優れたLED電球傑作である。
●写真15は、部品点数最小の小型シンプルなもので、台湾製オンウエハ接続クラスタアレイHV LEDダイ2個を使用している。
特徴あるLEDダイと実装の要素技術の変遷を示したが、多種多様のダイと実装技術を使い分け、日本の材料、装置を導入したことで、LEDランプのコストパフォーマンスと品質が向上し、LED照明が広く普及した。
写真10 初期高性能フリップチップ
写真11 サファイア除去後に蛍光体プレートが搭載されたフリップチップ実装
写真12 高輝度マルチダイFCデバイス
写真13 バーチカルタイプLEDデバイスの外観
写真14 オランダのLED電球2W 2700K 2011年4Q
写真15 台湾製HV LEDを採用した、シンプルLED
- 会社名
- Grand Joint Technology Ltd.
- 所在地
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