はじめに
欧米のほとんどの電子製造現場では、プリント基板、メタルマスクやリフロー清掃などの様々なアプリケーションにおいて、イソプロパノール(IPA)、またはエタノール(アルコール)の使用を、これよりもはるかに現代的な洗浄技術に置き換えている。しかしアジアでは、費用対効果が期待でき、また、より安全な代替品があるにも関わらず、ほとんどの企業はまだ上記のような化学物質を使用している。
たしかにIPAはリッターあたりの金額も安く、また簡単な用途では合理的な洗浄結果が得られるため、メタルマスク洗浄やプリント基板のフラックス洗浄だけでなく、はんだ付け装置の洗浄など、メンテナンス清掃で広く用いられている。特に手拭き洗浄においては、乾燥時間が迅速であるため作業者に負担をかけないことから、IPAやアルコールが好んで使用されている。
このようにIPAやアルコールは汎用的に使用される溶剤であるが、より高い環境意識、健康と安全の問題や現地での法律変化によって、市場にも意識の変化が芽生えてきている。このような傾向は、既存のIPAやアルコール洗浄プロセスとそれぞれの短所と合わせて、エンジニアの方々も認識しているだろう。
本稿では、IPA/アルコールの短所を詳細に見ていく。具体的には、フラックス洗浄などのハイエンド・アプリケーションにおける影響に焦点をあて、高信頼性結果、最適な労働と安全条件が得られる現代的な代替案を提示する。
IPA/アルコールのデメリット
IPA/アルコールは、当初から洗浄用として設計されたものではないため、現代的な洗浄剤に比べて多くの不利な点を有している。
●12℃の低引火点
●低い洗浄性能
●高い処理コストにつながる大量消費
●健康問題
●高VOC(100%)
1.低い引火点
ハロゲンフリーや速い揮発性溶剤のように、IPAとアルコールは12℃の比較的低い引火点をとなっている。引火点より高い作業温度下で使用すると、一つの火花が(電気的または裸火が)容易にシステム全体の火災を引き起こしたり、爆発につながることがある。このような状況下では、室温での作業も危険である(図1)。したがって、高価な防爆仕様の洗浄装置が必要であり、さらに保管及び輸送においても高価な予防策が低引火点のIPA /アルコールには必要となる。
図1 自動洗浄用にIPAを使用しているため、爆発したリフロー炉
- 会社名
- ZESTRONヨーロッパ
- 所在地
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