はじめに
近年、通信端末機器の小型化、記録メディアの大容量化などに伴って、使用される電子デバイスの集積化、微細化が著しい。その結果、電子部品の故障発生時に、部品内部の故障箇所の特定が困難な事例が増えてきた。製造工程や使用時に不良動作が発生した際、設計者ですら、どの部位が故障したのか、電気特性からのみでは特定することができない場合が多い。この故障箇所が、3次元的に実装された電子部品内部となれば特定はさらに難しい。
電子部品の故障解析は破壊検査と非破壊検査に分類される。破壊検査は、電子部品の故障予想箇所を表面に露出させる。電子部品深部に故障箇所が位置することが予想される場合は、パッケージを除去し、表面から深部に向けて研磨していく。故障箇所が表面に露出すれば、電子顕微鏡や走査型プローブ顕微鏡など、高い空間分解能を有する多くの表面顕微鏡技術が活躍する。ところが、研磨する過程において、故障箇所を除去してしまう場合も多く、確度の高い検査方法とは言いがたい。一方、非破壊検査では、X線-CTが代表的な分析方法である。X線-CTは、基板に亀裂が発生するなど構造的な問題箇所の特定には適しているが、断線、短絡など電気的な動作不良の箇所を直接特定することはできない。
そこで、本研究では、電子機器、電子部品内部の導通箇所が発する磁場の分布を、電子部品外部で測定し、測定結果を用いて電子部品内部の磁場分布を再構成し、導通箇所を高分解能で映像化する電磁場再構成法(Electromagnetic Field Reconstruction Method: EM-FRM)を開発した。さらに、EM-FRMに必要となる磁場データマトリックスを自動取得可能な機能を備える走査型トンネル磁気抵抗効果顕微鏡装置(Tunneling Magnetoresistance Microscope)を開発し、電子部品内部の導通箇所の非破壊検査に応用した。
数式
図1 物質内部の磁場分布再構成の説明図
図2 電磁場再構成法の原理図
図3 磁気センサの周辺に存在する磁場発生源
- 会社名
- 神戸大学/木村 建次郎、美馬 勇輝 大阪大学/木村 憲明 京都大学/大藪 範昭 (株)村田製作所/稲男 健
- 所在地
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