また図3のように、内装された(カバー内の)モータや熱電対、配線、電気部材などといった電装品の昇温を抑えることで部品寿命を延ばし、かつ、熱による部品トラブルを減少する他、リフロー炉や硬化炉においては、上部炉体施工によって上・下炉体施工と同じ省エネ効果が期待できるものとなっている。
図3 『エコサーム』装着前後の各部の温度状態の比較
※配電盤の内部は43.5℃(実施機は納入時53.2℃で施工後51.2℃となったが、制御盤内を50℃以下にするため客先にて改造済み)
図4 外装温度実証測定
図4、並びに表4に示すのは、装着前と装着後の改造の有無による温度差の比較グラフである。測定場所室温は22.5℃である。
表4 温度差比較
『エコサーム』を施工しない場合の装置の平均温度は38.8℃であり、施工済みの装置の平均温度は33.3℃で、最大の温度差は8.2℃となった。
エアコンに対する効果は下記のようになった(成績係数(Coefficient of Performance)により算出)。
冷房能力のSI単位換算
1cal=418605J(ジュール)
1J=1W・sなので、
1000kcal/h=10^6cal/3600s
=418605*10^6W・s/36*10^3s
≒1162.8W=1.1628kWとなる。
A社のパッケージエアコンの冷房能力は
19,500kcal/h=19.5×1.1628kW=22.67kW
また、冷房時定格消費電力は9.3kWなのでCOP(冷房能力または冷暖房能力/消費エネルギー)=22.67/9.3=2.44となる。
たとえば、2kW削減されたとすると、この分は空調電力の削減に寄与する。空調設備の成績係数(COP)を2とすると、2kWの熱負荷を室外にくみ出すために1kWの電力が必要ということになる。
したがって、2kWの空調負荷を削減できれば1kWの空調電力が削減できるということになる。つまり、A社の場合は、削減できた電力1kWのうち1/2.44≒0.4kWの空調電力が削減されるという結果になった。
3.実証結果
その実証結果のまとめは、以下の通りである。
①施工によって、リフロー炉本体の保温 を行い、消費電力を削減することができた
②施工によって、炉体よりの輻射熱を抑 えることができた
③外装カバー取り付けフレーム施工前 の温度は55℃であったが、施工後は 38℃になり、17℃下がった。これに より、炉体より外装カバーへの伝導熱も抑えることが確認できた
④施工により、炉体からの発熱(放出熱)を抑えることができた
⑤保温効果が向上したため、近接するゾーンの温度差が従来より少なくなるが、これはプリヒート部とリフロー部の温度差を著しく大きく設定する場合である。その際にはそのゾーンに施工したものをはずすか、オプション(炉体表面冷却、※後述)を使用する方法がある
⑥施工後、機械の特性により、生産中は設定温度で安 定するが待機中に保温効力が向上するため設定温 度より炉内の温度が高くなる場合がある。その解決方法の一例として、待機中は設定撹拌ファン回転数を抑えることや、設定条件を変えることでも対応できる
⑦実証機において内部循環温度(計測制御ボックス)であまり変わらなかった。外装部測定において外装温度が下がり、その効果は確認できるが、機械自身の他の熱風発生(発熱)により100%効果は出ていない。内部(炉体と外装部)を流動している熱風が外装カバーを熱くしている可能性があった。機械によっては、たとえば入口・出口開口に設置さ れているダクトから高熱が放射されている場合がある。その場合は、補修用の製品である『エコサームライト』を、熱い部分をユーザーサイドで(設計上、高温にしている場合もあるため)施工すると、外装温度は低下する場合がある。
オプション
1.冷却システム
以上のように、本製品は施工することで保温性が高められ、消費電力が抑えられ、省エネに貢献できるものであるが、その開発中には下記のような問題の発生についての指摘もあった。
①温度設定を切り替え時(高い温度から低い温度設 定)に、従来より時間がかかる
②中間ゾーン(高い温度と隣り合わせ及び高い温度 にはさまれたゾーン)の温度が、高い温度に引きず られ、設定温度より高くなってしまう
③リフロー炉停止後、規定安全温度に到達するまで に時間がかかる
そこで、これらの問題を解決するために、リフロー炉体に簡単に冷却システムを装着することによって炉体設定温度をコントロールするシステム『リフロー炉温度冷却装置』を開発した。このシステムは、炉内に気体などを導入しないため、炉内に対する影響(窒素炉の場合は窒素変化)がないものになっている。
その実証として、冷却システム装置によって255℃設定(炉内ファンはオン状態)の安定後から測定をそれぞれ行った。その結果、実装の開始30分後で、『エコサーム』を装着しないリフロー炉では171℃まで降下し、『エコサーム』を装着した状態のものは198℃まで、そして冷却システムを装着したものは151℃まで降下した。この冷却システムは、炉体本体を冷却するので、再スタート時に温度が上昇することはない。
2.下部炉体用
さらに下部炉体用の製品も用意している。下部炉体用を施工することの効果としては主に、
①下部炉体から機械内蔵制御盤への熱伝導削減
②下部炉体からの粉塵の発生に伴う断熱材の老朽化の防止
③下部炉体接続電装品昇温防止
が期待できる。
3.その他
さらにオプションとして、運転待機中及び休止中に炉体を保温し再起動する『炉体保温ヒータ』、設定温度昇降時外部空気を炉体にあてて炉体表面の温度を下げる『炉体冷却システム』、クリーンルーム対応用の『エコサームMAX』を用意している。
おわりに
以上のように、本製品は、今日、特に高まりを見せている省エネ意識の向上とその取り組みに貢献できる製品であると考えている。
なお本製品は、韓国JINWOO.CO.LTDと、日本のM.INNOVATIONがコーディネイトしているものである。ご興味があればぜひご相談いただきたいと思う。
- 会社名
- JINWOO. CO. LTD
- 所在地
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