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テクニカルレポート
2021.04.16
画像でひも解くクリーンルームでの発塵
クリーンサイエンスジャパン

 

5.足踏み動作による塵埃の舞い上がり

 

 ●図5に塵埃として用いたガラスビーズ(代表粒径50μmφ)を床面に堆積させた後、作業者がその位置で片足での足踏みした時の塵埃の舞い上がりを示す。

 足踏みしたときの気流の発生で50μmの塵埃は前方向に流れるだけではなく前方約2m先まで達している。

 また、一部はおおよそ腰部まで舞い上がっていることが分かる。

 このように床に堆積したビーズは歩行動作によって舞い上がり歩行で発生した気流に乗って飛散する。

 また、歩行すると足脚の後ろ側も、引きずるように後方2mまでビーズが浮遊することが確認される。

 さらに、これらの舞い上がった塵埃は当然ながら無塵服靴や作業者の足脚にも付着する。

 この動画撮影後、無塵靴と無塵服の足脚の部分をはたくと相当な塵埃が付着していることが確認された。

 このことからエアシャワー内で作業者の上半身の塵埃を落とすことも大事だが、それ以上に足脚部の除塵がさらに重要であると思う。

 一般に歩行動作は気流の乱れの原因なので、塵埃を舞い上げてしまう。

 これに対して、歩行や作業動作をゆっくり行うことで塵埃の舞い上がりを抑制することができる。

 
図5 足踏みした時の塵埃の舞い上がり

 

6.錆びた金属棒からの発塵

 

 ●図6に錆びた金属棒からの金属片の落下を示す。

 図は錆びた金属棒(実際にはペンチ)をドライバーで擦ったときの発塵を示している。

 白く光って見える塊状のものが発生した塵埃で、相当な数の塵埃が飛散し落下していた。

 金属の錆は脱離しやすく、飛散や落下の原因となる。

 電子部品に金属異物が付着すると電気的を引き起こす。

 一般に製造工程の中では、裁断・研磨・穴あけ・研削などの機械加工がある。

 これらの工程では加工に付随して金属粉や金属片は間違いなく飛散している。

 加えて、装置の摩擦・摺動部や同様である。

 機械加工の工程において、目視レベルの切削粉や摩耗粉は数秒以内に周辺のおおよそ3mの範囲に飛散する。

 中でも数十ミクロンの金属微粉は、気流に乗って浮遊塵埃として作業室内に飛散する。

 また、切削油等が混在すると研削・摩耗粉等も抱き込むために油の酸化も重なって黒褐色の粘性の高い付着物となる。

 また、ネジ締め・嵌合・はんだ付け等の組立作業も見えないレベルの発塵がある。

 このような理由から機械加工の作業室は隔離し金属汚染の防止をしなければならない。


図6

 

7.気流の落下による渦の発生

 

 ●図7に気流による渦の発生を示す。

 台上にペットボトルを横にして置き、その上から別のペットボトルに詰めたタバコの煙を真上から落としたときのたばこ粒子の流れを示している。

 落下したタバコの煙は台上とペットボトル近傍で両側に潜り込み渦を巻いていることが分かる((+)部分)。

 このように、気流が衝突する角部Rの形状は制御の対象である。

 装置のコーナー部や、急激な拡大縮小を伴う形状や段差部では渦を発生させる性質がある。

 一般的に、塵埃は気流に乗って浮遊するため、このような渦が発生すると気流の運動エネルギーは接触による摩擦で失速し消失する。

 このため、この気流中に含まれる塵埃は、この近傍で落下し堆積する。

 実際の作業室では壁側や配線ケーブル、装置の裏側・底部など、気流が小さくなった場所に塵埃が多く堆積する。


図7 気流による渦の発生

 

8.静電気による塵埃の吸着

 

 ●図8に静電気による塵埃の吸着を示す。

 垂直にした透明PET板に+5kVに帯電させた状態で塵埃として用いたコットンリンターを上から落下させたときの、PET板に付着する塵埃の様子を示す。

 図中右側のPET板に塵埃が吸着する様子が分かる。

 一方、PET板下側やその他に横方向に長い線(痕跡)が走っている。

 これは、(+)(-)に分極していた塵埃がPET板(+)との瞬時の接触で(-)が中和で消失し(+)荷電のみとなったため反発し反跳したものである。

 このような吸着現象はクーロン力(Coulomb’ force)に起因している。

 静電気には(+)と(-)があるが、異なる極性では吸着力(吸引力)、同極の場合は反発力(斥力)が働く。

 物体に蓄積した静電気は瞬間的にノイズの放出と共に放電する現象がある。

 これをESD(ESD:Electrostatic Discharge)と呼ぶが、主に制御基板のIC回路で放電すると、ICは破壊することで知られている。

 また、静電気によって帯電したときは塵埃を吸着し易くなる。

 この性質をESA(Electrostatic attraction)と呼ぶ。

 したがって、図はESAを示している。

 作業室内のクリーン化において、ESA対策は必須となっている。

 このESA対策では、装置・部材・部品の電気抵抗値を下げることや、湿度管理、アース接地が3大対策である。


図8 静電気による塵埃の吸着

 

 

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