図5の写真は、フィレットの形は良いものの、光沢が良くない。これは基板めっきの影響を受けているからであり、本来はすずの光沢が強く表れる。
図5 左:調整前のアルミ電解コンデンサ。ぬれ広がり不足が見られ、ボイドの可能性が大きい;
右:プロファイル調整後のアルミ電解コンデンサ。はんだの界面がきれいな曲線を描いており、ぬれ広がりは良好
図6 通常の鉛フリーはんだのフィレット表面光沢は鉛はんだと然程変わりません
このように普段から良品の解析や部品リード・基板ランドの観察をしていなければ、単なる外観観察では自動外観検査機と同じで不良の原因を見逃してしまう。
ヒータの熱をファンで基板に供給するエアリフロー炉については、ファンの回転数を抑えすぎてしまっては効果が出ない。また、エアの吹き出し方法や熱風の効果はメーカーやその炉によって違いがあるので、一概にはいえない。そのため、それぞれの使用炉で確認が必要になる。
プリヒート部(室温からはんだの融点まで)は可能な範囲で熱量を抑え、フラックスを劣化させないようにする。
ヒータからの熱風は、部品や基板表面への熱供給は効率が良いのであるが、多層基板では内層への熱移動で実際のリフローでははんだの溶融時の潜熱やフラックスの気化熱を考慮して温度プロファイルを読まなければならない。実行時には拡大写真でフラックス残渣やフィレットのぬれ広がり・上がりの変化を確認して、設定変更の良否を判定するべきである(図10、12、13)。
以下に、事例を図と共に紹介する。
■基本設定
① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦
上部ヒータ 170℃ 190℃ 210℃ 230℃ 240℃ 245 ℃ 245℃
下部ヒータ 170℃ 200℃ 220℃ 240℃ 255℃ 255℃ 250℃
図7
図8
図9
■事例No.1(図7)
基本設定のまま
※上下全てのファン回転数は低速にしている
※トップ温度:Ch1=236.7℃、Ch2=244℃、Ch3=233.9℃、Ch=246.3℃
■事例No.2(図8)
※コンベア速度0.95
※下部ヒータ 「基本設定」の⑥番の温度を260℃に、⑦番の温度を260℃に変更
※トップ温度:Ch1=236.3℃、Ch2=245.5℃、Ch3=233℃、Ch=248.8℃
注……本来は下部ヒータ温度を上げているのでプロファイルが変化するはずであるが、トップ温度はほとんど同じである。変化は主にトップ温度より融点以上の時間に現れるが、この段階では調整の効果についてはまだ判らない。エアリフローでは判明しづらいので、実際に部品をリフローして確認する必要がある。この時、トップ温度に大きな変化がある場合は、下部にある部品への熱影響が大きいので、この操作方法は使えない。
■事例No.3(図9)
※温度設定条件はNo.1と同じ
※コンベア速度:1.10
※トップ温度:Ch1=229.5℃、Ch2=240.4℃、Ch3=219.3℃、Ch=243.3℃
注……コンベア速度はヒータ温度より大きな熱影響を与える
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