量産現場におけるはんだ付けの基本は、フラックスを劣化させずにはんだを溶かすことである。フラックスの劣化を防ぐため、特に室温からはんだの融点まで(プリヒートゾーン)は、上部ヒータであればファンの回転を抑えてフラックスの劣化を防ぐなどといった必要があるが、ほとんどの現場では炉の特性やその性能について研究をすることなく、あくまでもマニュアルの範囲内での操作にのみ終始しているようである。基板の設計や、搭載部品が絶えず変わるといったフレキシブルな量産現場で不良を出さずに実装するためには、このような対応では十分とはいえない。少なくとも、日々使う装置の操作方法は習熟すべきである。
フラックスを劣化させずにはんだの接合部に熱を供給する方法としては、下部ヒータを活用して基板下部から接合部のランドに熱を供給する方法(床暖房方式)も有効である。
遠赤外線+エアリフロー炉(日本アントム製『UNI-6116』)は、上下のヒータを自由に操作することができ、通常の基板や高温はんだ、またはアルミや銅基板、熱量を多く必要とする厚手の基板及び部品(半導体・LEDなど)の実装などに対応でき、微量はんだ(微細部品)のはんだ付け及びディスクリート部品のリフローも少ないフラックスを劣化させずにはんだ付けが可能である。
このように、上下ヒータを使い分けることで、部品や基板の材質や設計による熱の移動やはんだ量の多寡によるフラックスの劣化を抑えて熱供給することが可能となる。
特に、微細な部品と大きな部品の混載されている基板では、ぬれ性とボイドのコントロールが大きな問題になるが、上部ヒータの熱風を抑えて、下部ヒータからの熱供給で対応することができる(図1?図3)。
図1
図2
図3
はんだの印刷された上部ヒータのファン(熱風)はプリヒート部では抑えてはんだを溶かすリフロー部分で活用し、不足する熱は直接フラックスへの影響の少ない下部ヒータを高く、強くして補うようにする。特に遠赤外線による基板の自己発熱は、フラックスを劣化させない熱供給になる(図4)。
図4
- 会社名
- 実装技術アドバイザー
- 所在地
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