4. AIサーバの基本構造
AIサーバは一般的に次の5つの要素から構成される。
4-1 CPU(中央演算装置)
CPUはサーバの司令塔であり、システム全体の制御を行う。AI計算の主役はGPUであるが、データの前処理やシステム管理はCPUが担当する。
最新のAIサーバでは、1台のサーバに2個以上の高性能CPUが搭載されることが多い。
4-2 GPU(AI計算エンジン)
AIサーバの中核となるのがGPUである。GPUは数千個の演算コアを持ち、大量のデータを同時に処理できる。ディープラーニングの計算では膨大な行列計算が行われるが、GPUはこれを高速に処理できる。
AIサーバでは1台に4〜8個、多い場合はそれ以上のGPUが搭載されることもある。
4-3 メモリ
AIモデルは非常に巨大であり、数十GBから数百GBのメモリを必要とする場合もある。そのためAIサーバには大容量メモリが搭載される。特にGPUには専用の高速メモリ(HBMなど)が使われており、AI計算の高速化に重要な役割を果たす。
4-4 高速ネットワーク
AIの学習では、複数のサーバを接続して巨大な計算システムを構築することが多い。このためAIサーバには高速ネットワークが必要となる。代表的な技術としてInfiniBand、400G Ethernet、NVLinkなどがある。
これらの高速通信により、数百台のAIサーバを一つの巨大コンピュータのように動作させることが可能になる。
4-5 ストレージ
AIの学習には膨大なデータが必要となる。画像AIでは数百万枚の画像、言語AIでは数兆語のテキストが使われる。そのためAIサーバにはNVMe SSD、分散ストレージ、オブジェクトストレージなどの高速データ保存装置が接続される(表3参照)。

表3 AIサーバと一般サーバの比較
5. AIラックサーバの構成
AIラックサーバの標準構成は表4の通りである。

表4 AIラックサーバの標準構成
6.AIサーバの役割
AIサーバには大きく2つの用途がある。
6-1 AIの学習(Training)
AIの学習とは、大量のデータを使ってニューラルネットワークのパラメータを最適化する作業である。
この処理には膨大な計算が必要であり、大規模AIでは数千個のGPUを使う場合もある。
例えば大規模言語モデル(LLM)の学習には数週間、数百万ドルの計算コストがかかることもある。
6-2 AIの推論(Inference)
推論とは、学習済みのAIモデルを使って実際のサービスを提供する処理である。ChatGPTの回答生成、自動翻訳、画像認識、音声認識などが推論である。
推論は学習より計算量は少ないが、大量のユーザーに対応する必要があるため、やはりAIサーバが必要となる。
7. AIサーバを支えるデータセンタ
AIサーバは通常、データセンタ内で運用される。しかしAIサーバは従来のサーバよりも消費電力が大きい。GPUサーバは1台あたり1,000W以上の電力を消費することもあり、従来のCPUサーバよりも大幅に電力需要が増加する。そのためAIデータセンタでは大容量電源、高性能冷却、液冷システムなどの設備が重要となる。多くの企業で活用が急速に拡大しているAI・機械学習に関して、推進の妨げの1つとなっている「高性能サーバの消費電力問題」である。
近年ではAI向けデータセンタの建設が世界中で進んでおり、巨大な産業となりつつある。
8. AIサーバ市場の拡大
生成AIの急速な普及により、AIサーバ市場は急成長している。AIサービスを提供する企業は大規模GPUクラスタ、AI専用スーパーコンピュータを構築している。
例えば、Google、Microsoft、Amazon、Metaなどの企業は、数万個規模のGPUを持つAIデータセンタを運用している。
またサーバメーカーでは、GPUサーバ、AI専用ラックなどの需要が急増しており、AIサーバはIT産業の中心分野となりつつある。
9. AIサーバの現地見学可能な主な場所
日本ではAIサーバを実際に見学できる公開施設は限定的であるが、データセンタ事業者のツアーやイベントでGPU搭載AIラックサーバを間近で観察することが可能である。
1. IDCフロンティア(東京府中データセンタ)
GPU/AI専用高負荷ラック(15-20kVA)を備え、過去にAI開発者向け見学ツアーを開催。電力設備から稼働GPUサーバまで体感可能。企業・研究者向けに随時受付。
2. NTTデータ 三鷹データセンタEAST(東京都三鷹市)
一般公開レビューがあるデータセンタ。サーバルームが稼働中で、AI対応ラックを確認することが可能で、この施設は24時間稼働している。
以上、AIサーバについて、AIについての略史を紹介ながらAIサーバの概要を紹介した。参考になれば幸いである。
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