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テクニカルレポート
2026.06.25
日本の産業構造の変化にともなう電子機器分野の話題商品を追う
第96回 <AIサーバ>
特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構
青木 正光

AIサーバとは、人工知能(AI)の学習や推論を高速に処理するために設計された高性能コンピュータサーバのことである。従来の業務システム用サーバと比較すると、計算能力・メモリ帯域・通信性能などが大幅に強化されている点が特徴である。その「AIサーバ」について解説する。

 

1. AIサーバとは

AIサーバを紹介する前に、先ずAIについて紹介する。AIはArtificial Inteligenceの略で 「人工知能」と訳され、1956年にダートマス会議でジョン・マッカーシー教授(写真1の左上)により命名された。

写真1 AIの父達

 

人間のように学習したり判断したりできるAIの中でも、多彩なコンテンツを作り出す生成AIが一気にICTの主役級に躍り出た。AIが暮らしから経済まで様々な場所で活用されるようになってきた。少子高齢化の日本ではAIを活用しない手はないとも言われ、AIが話題となってきた。

AIの略史を示すと表1のようになり、早いものでは1950年からAIが議論されるようになった。

表1 AIの略史

 

2022年11月にChatGPTが公開され、その有用性が多くの人達から認識されるようになり、AIサーバの登場に目を向けるようになった。AIサーバが登場したのは比較的新しく、2016年のことである。

AI技術、とりわけディープラーニング(深層学習)は、膨大なデータを使って計算を繰り返すことで学習を行う。この処理には膨大な計算能力が必要となるため、一般的なサーバでは処理時間が非常に長くなる。そのため、AI処理に特化した高性能サーバが必要となり、それがAIサーバである。

現在、生成AIや自動運転、画像認識、音声認識などの技術が急速に普及しているが、それらの裏側では大量のAIサーバが稼働している。

 

2. AIサーバの導入

2016年4月、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン氏(写真2)が自ら最初のディープラーニングサーバ DGX-1(写真3)をElon Musk氏主導のOpenAIに手渡した。これがAI専用GPUサーバの商業的デビューで、OpenAIのAI研究を加速させたと言われる。

写真2 ジェンスン・フアン氏

写真3 ディープラーニングサーバ DGX-1

 

 

DGX-1は8基のNVIDIA Tesla P100 GPUをNVLinkで接続したAIスーパーコンピュータ級サーバで従来のCPUサーバでは不可能な大規模ディープラーニングを可能になった。

他のAIサーバの導入開始時期は表2に示す通りで、Facebook(Meta)、Microsoftなどがほぼ同時期に導入している。

表2 AIサーバの導入開始時期

 

3.従来のサーバとの違い

AIサーバは、AI処理に特化した高性能なサーバシステムで、主に機械学習やディープラーニングのトレーニング・推論を高速化するために設計されている。

AIサーバと従来のサーバの最大の違いは、GPU(Graphics Processing Unit)などの並列演算装置を多数搭載している点である。CPU中心の一般サーバと異なり、GPUやFPGAなどのアクセラレーターを複数搭載し、並列処理で大量データを同時に扱い、数週間かかる学習を数時間に短縮が可能なのがAIサーバである。

通常のサーバはCPU(中央演算装置)を中心に構成されている。CPUは少数の高性能コアで順次処理を行うため、業務システムやデータベースなどの処理には適している。しかしAIの計算は、同じ計算を何百万回も並列で実行する必要がある。

GPUはもともと画像処理用に開発された半導体であり、数千個の小さな演算コアを持つため並列計算に非常に強い。AIのニューラルネットワーク計算はこの並列演算に適しており、GPUを利用することで処理速度が飛躍的に向上する。

このため現在のAIサーバは、CPU、GPU(複数枚)、大容量メモリ、高速ストレージなどを組み合わせた構成になっている。