御社の鉛に関する技術についてお聞かせ下さい
佐久本:まずは、当社の扱う鉛が主にどのようなところで使われているのかということからお話しします。
日本国内において、鉛のインゴットという原料の段階から使われるのは、自動車や非常用蓄電池などのバッテリー関連が8割以上占めています。鉛を使用しない新しいリチウムイオン電池などが製品化されていますが、まだまだ開発途上で鉛バッテリーの方が容量なども大きいということから必然的に高くなっています。それから、非破壊検査関連でも使用されています。非破壊検査では、主にX線を使用して検査をしており、X線が外に洩れないように鉛を貼って防御しています。空港の手荷物検査や、最近では大きな貨物コンテナをそのまま検査できるX線検査装置も開発され、各税関などに設置されています。そのほかにも、航空機をまるごとX線にかけて翼などに亀裂などがないか調べたり、建設関連では大型建設車両に付いている大きなタイヤの健全性を調べたりするのに使われており、また身近なところでは食品/衣料関連などでも異物混入防止としてX線検査は重要視され、そこに当社の鉛技術が活かされています。
そして、今問題になっている原子力関連にも鉛は使われています。原子力発電所や人工放射能を使用するRI施設などで、作業員を被爆から守る鉛毛マットや放射能に汚染された廃棄物を入れる容器など、当社の開発した製品や装置などが使われています。また、青森県にある六ヶ所再処理工場にも、大手メーカーと共同でMOX燃料加工装置の開発に、設計から製造まで携わっていました。
あとは、ちょっと変わった用途として、鉛ダンパーという免震装置に使われています。この装置は、ビルなどの建物の下に設置して、地震により発生する振動エネルギーなどを吸収するもので、鉛の特性が活かされています。またこの装置は、当社が開発したものではありませんが、鉄と鉛を溶着するという工程があり、通常では鉄と鉛は溶着できませんが、当社はこの溶着技術を有しており、鉛ダンパーの製造をしています。このように鉛は、遮蔽以外にも素材が柔らかいということで、エネルギーを吸収するという特殊な使い方もあり、時代時代によって新しい使用環境が生まれてきています。
さらに、遮音関連や医療関連、そして先端医療や先端科学といった新しい分野においても鉛の特性を活かせるニーズはあるので、当社としても新たな技術開発にチャレンジしています。
- 会社名
- ヨシザワLA株式会社
- 所在地
- 千葉県柏市
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