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テクニカルレポート
2026.04.21
微細化・高密度化と環境負荷低減を両立するプリンテッド・エレクトロニクス最新技術
(株)セリアコーポレーション
代表取締役社長  村上 芳道

⑤グラビアオフセット印刷

『RYURONE』は平台スクリーン印刷の版と基材間のギャップを起因とする印刷品位低下を改善する一方、スクリーン印刷方式で電子回路形成可能な解像度と印刷膜厚は図7に示す範囲に制限される。フォトリソグラフィはスクリーン印刷を包含し、さらに高解像までカバーするが、一般的に装置コストが高額となり環境負荷が大きい。当社は、スクリーン印刷より高解像度、高位置精度、かつフォトリソグラフィの装置コストよりリーズナブルなグラビアオフセット印刷機『PEPIO』を開発したので、その原理と印刷結果を紹介する。

図7 電子回路形成技術ごとの解像度と膜厚の関係

 

『PEPIO』の構成と印刷工程を図8に示す。印刷工程は、ディスペンサでペーストを凹版へ供給し、コートドクターで凹版表面にペーストを広げて溝を充填、余剰ペーストをカキトリドクターで除去した後、ペーストをPDMS (ポリジメチルシロキサン)ブランケットに一度“受理(OFF)”してから基板へ“転写(SET)”する方式である。PDMSは表面エネルギーが低いため離型性が高く、同時にブランケット側で溶剤を選択吸収してペーストに粘度勾配を生み半固化するため、基材側への完全転写が起こりやすく、にじみ(ブリード)を抑えた微細パターンを得られる。凹版素材はガラスエッチングやニッケル電鋳などのリジッド版を用いるため版の伸びがなく、カメラアライメントとの組み合わせで位置精度の高い重ね印刷に向いている。

図8 『PEPIO』の構成と印刷工程

 

図9は、『PEPIO』の印刷位置精度に関しスクリーン印刷と比較した印刷結果である。同一ターゲットの印刷位置精度誤差は、スクリーン印刷の場合±11μm(3σ)に対し、『PEPIO』は±5um(3σ)を達成する。さらに、『PEPIO』の高い印刷位置精度を応用し、Agペーストを用いて同じ形状位置に重ね印刷をした結果を図9に併せて示す。10回の重ね印刷により、厚み20μmの膜厚を達成する。この印刷特性を生かし、当社は微細部品の高密度化実装を想定した狭ピッチはんだバンプ形成をグラビアオフセット印刷で行う技術開発と提案を進めている。

図9 印刷位置精度の比較と重ね印刷結果

 

図10は実際に『PEPIO』で形成した微細はんだバンプと部品実装例である。グラビアオフセット印刷用に最適化したType7はんだペーストを用い、BGAパッケージ(φ50μm)や0201サイズなどのチップ実装を想定したはんだバンプを形成し、0201チップ実装を50μm間隔で達成している。

図10 PEPIOの微細はんだバンプ形成の実例

 

これらの結果より、『PEPIO』は電子部品および半導体パッケージ製造プロセスにおける、より一層の微細化と高密度化にPE技術の装置として貢献することが期待できる。

 

⑥まとめ

アディティブ法は、材料・エネルギー・薬液・廃液の削減につながる「構造的な」環境価値を持つ。アディティブ法に属するスクリーン印刷方式は環境特性に優れているが、版と基材間のギャップ起因による版変形・版離れの課題がある。『RYURONE』はそれら課題を克服し、寸法安定・印刷の面内均一・スループットを底上げする。『PEPIO』は低にじみ・高位置合わせ・重ね印刷による厚膜化を実現し、スクリーン印刷よりさらなる微細化・高密度化印刷を実現する。(株)セリアコーポレーションは今後も、装置×材料×版×工程をワンストップで最適化し、環境負荷の少ないPE技術に基づく新製品を提案していきたい。

 

会社名
(株)セリアコーポレーション
所在地
埼玉県戸田市美女木4-21-19