ビジネスコミュニケーションを加速する
BtoB ニュース専門サイト | ビジコムポスト

テクニカルレポート
2026.04.21
微細化・高密度化と環境負荷低減を両立するプリンテッド・エレクトロニクス最新技術
(株)セリアコーポレーション
代表取締役社長  村上 芳道

④スクリーン印刷の原理、課題、解決策

スクリーン印刷は、版の開口部にスキージ圧でインクを通過させて像を形成する。版の構造は図3となっており、開口内部の孤立領域(“島”)が脱落しないよう紗(メッシュ)が用いられ、紗の素材はステンレス/ポリエステル、電子分野では金属薄膜のステンシルが用いられることもある。メッシュ線径・開口率・ピッチは、印刷膜厚やエッジ形状・面粗さを規定し、かつインクのチキソ性(thixotropy)やレベリング(leveling)と合わせて最適化することで機能性膜の品位が決まる。スクリーン印刷の電子分野での応用範囲は広く、導電・絶縁・誘電・接着剤・有機半導体などの膜形成に用いられる。スクリーン印刷を用いる実装プロセスの一例を挙げると下記となる。

図3 スクリーン印刷の版構造

 

・ソルダーレジスト(プリント基板の緑色の保護膜)

→ 現在ではほとんどがスクリーン印刷で形成されている。

 

・シルク文字(部品番号・ロゴなど)

→ 耐熱インクで印刷され、後工程でも消えにくい。

 

・はんだペースト(SMT実装)

→ ステンシル(メタルマスク)上の開口部分にだけはんだを載せる最重要工程。

 

・導電材料(Ag、Cu、カーボン)

→ 回路配線、ヒータ、センサ電極形成などに幅広く使われる。

 

・絶縁・誘電材料

→ 厚膜絶縁層やセラミック基板の誘電層形成などに使われる。

 

スクリーン印刷は、スキージ通過後に版を基材から離すために版と基材間に一定量のギャップを設けるが、このギャップを起因として次の3点の印刷品位低下が生じる(図4参照)。

図4 スクリーン印刷の課題

 

1.刷り始め・刷り終わりで版離れ角が浅くなり、にじみの原因となる。

 

2.両サイドと中央で反力差が生じるため印圧が不均一となり、かすれの原因となる。

 

3.版がゆがみ変形して寸法変動が生じる。

 

印刷品位低下はギャップ間隔が狭ピッチになるほど影響が大きく、特に角型パターンでは中央が凹むサドル形状として印刷品質に現れる。

これら課題に対し、当社が開発したギャップレス同期型スクリーン印刷機『RYURONE 35SZ』(以降、『RYURONE』)は、図5に示すように印刷テーブルを円筒胴(印刷ローラ)とし、版を固定したまま印刷ローラとスキージを同期駆動させる方式とした。天頂近傍で版と基材が接触するため実質ギャップ0となり、版離れ角は一定、版のゆがみ・反力差を抑えられる。結果として、にじみの抑制、細線エッジのシャープ化、印刷の面内均一性向上、版ダメージ低減と寿命延長、印刷速度の向上を図れる。印刷動作は「シート送り→版・スキージ下降→印刷ローラ回転し同期移動→復帰」の繰り返しとなる。

『RYURONE』と従来の平台スクリーン印刷機の印刷比較結果を同図5に示す。『RYURONE』は印刷線幅50μmの細線の角がシャープに再現され、かつ印刷寸法の変形が小さい。

図5 ギャップレス同期型スクリーン印刷機『RYURONE 35SZ』

 

図6は、印刷面内パターン形状安定性に関する『RYURONE』と平台スクリーン印刷機の印刷比較結果である。230mm角の印刷面内に0603相当のMLCC(積層セラミックコンデンサ)パターン幅を約20mm間隔に水平×垂直=10箇所×10箇所(計100箇所)印刷する場合の印刷形状ばらつきを測定した結果、『RYURONE』は平台スクリーン印刷機と比較して形状ばらつきを約1/3(±3μm対±10μm)に低減した。『RYURONE』は、電子部品の配線・電極の製造工程に求められている微細化と高密度化にPE技術の装置として貢献することが期待できる。

図6 印刷面内パターン形状安定性の比較結果

会社名
(株)セリアコーポレーション
所在地
埼玉県戸田市美女木4-21-19