後回しにしないノイズ対策　～システム全体のEMC検証ツールの最新動向～

テクニカルレポート

2025.08.01

（株）図研

野村政司、武田宏明、小枝孝也、佐部利亮輔、古川和樹

⑤おわりに

3D EMC Adviserは、設計段階からシステム全体としてのノイズ問題について、EMC品質を高める新たなアプローチを提供するツールであり、プリント配線板を搭載するあらゆる製品に適用可能である。車載機器、産業機器、コンシューマ製品など、幅広い分野においてEMC検証への活用が期待されている。

また、回路・基板設計と筐体設計がそれぞれの設計者によって並行して進められる現場においても、3D EMC Adviserを適用することで、設計初期からエレキとメカの設計データを組み合わせたEMC検証を行うことが可能となる (図10）。

図10　エレメカ設計プロセスを融合する3D EMC Adviser

これにより、以下のような効果が期待できる。

・レキ／メカ設計の最適化による設計品質と効率の向上

・設計段階でのEMC検証／対策による　試作後の手戻り防止

・EMCルールの体系化によるノイズ対策ノウハウの共有と継承

さらに最新版では、EMCの中でも特にイミュニティに着目したチェック機能を強化し、新たに開発・追加した。

これにより、外部ノイズに対する感度や弱点を設計段階で把握することが可能となり、より実用的で信頼性の高いEMC設計支援を実現している。

本ツールを、EMC課題に悩むすべての設計者の方々に活用いただき、より効率的な設計プロセスかつ高品質な製品の実現に貢献できれば幸いである。

＜参考文献＞

１）（株）図研野村

「高信頼性が求められるECU設計のEDA活用とEMC」

月刊EMC No436 p80-93 （2024年8月）

２）（株）図研野村、武田、小枝、佐部利、古川

「ノイズ対策とEMC設計ツール」

エレクトロニクス実装技術 Vol.40 No.7 p18-22（2024年7月）

３）（株）図研野村、武田、小枝、佐部利、古川

「エレキとメカを融合したEMC設計検証ツール」

エレクトロニクス実装技術 Vol.39 No.7 p30-33（2023年7月）