1. はじめに
実装業界の動向を調べるのにどうしたら良いであろうか ?......の続編である。
実装業界に関連する雑誌や企業が発行する「技術情報誌」や「業界新聞・業界誌」などを紹介する。
企業で発行する「技術情報誌」は特集記事を組むことがあり、実装に関係する特集もある。
さらに企業で開発された最新の製品に関する技術紹介もあるので、大変有効な情報となる。
また、業界に特化した新聞や業界誌もあって有用と思われるので、これについても紹介する。
今回もお役立ち情報として活用していただければと思う。
2. 雑誌・業界誌関係
まず最初に、実装に関係する技術雑誌(学会誌を除く)について紹介する。
以前は、『実業往来』、『エレクトロニクスダイジェスト』、『部品工業』、『電子技術』、『表面実装技術』、『電子材料』、『日経マイクロデバイス」、『サーフェィスマウントテクノロジー』、"M&M"、"Semiconductor World"、"Electronics Journal"などの関連雑誌が存在し、各自、必要に応じて購読して技術情報を得ていたのではないかと思うものの今や、残念ながら休刊となってしまった。
そして"EDN Japan"と"EE Times Japan"の月刊誌は休刊となり、ネット配信に移行している(表1)。
No. | 雑誌名 | url |
1 | EDN Japan | https://ednjapan.com/ |
2 | EE Times | https://eetimes.jp/ |
表1 ネット配信に移行した雑誌
そして、表2に示すものが、現在、購読できる実装に関係すると思われる雑誌、業界新聞/業界誌となる。
雑誌名 |
出版社 | url |
エレクトロニクス 実装技術 |
Gichoビジネスコミュニケーションズ | http://www.gicho.co.jp/ept/ |
日経エレクトロ ニクス |
日経BP社 |
https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/ |
トランジスタ技術 | CQ出版 | https://toragi.cqpub.co.jp/ |
デザインウェーブ マガジン |
CQ出版 | https://www.cqpub.co.jp/dwm/ |
プラスチックス | 日本工業出版 | http://www.nikko-pb.co.jp/ products/list.php?category_id=174 |
工業材料 | 日刊工業新聞 | |
JETI | 日本出版制作センター | https://www.center-net.jp/jeti/ |
メカトロニクス | Gichoビジネスコミュニケーションズ | http://www.gicho.co.jp/mechatronics/ |
電子デバイス 産業新聞 |
産業タイムズ社 | https://www.sangyo-times.jp/scn/ |
プリント回路 ジャーナル |
プリント回路ジャーナル | http://www.pcjcorp.jp/ |
表2 購読できる雑誌・業界新聞/業界誌
なお、出版社によっては、一部の記事の最初の1~2ページ分を公開している雑誌もあり、ウエブサイトで閲覧することができ、購入するうえでの参考になる。
以上のような状況の中で、貴重な情報が得られる企業が発行している「技術情報誌」と「業界新聞/業界誌」について紹介する。
なお、ここで紹介するのはウエブサイトで閲覧できるものにとどめた。
3. 技術情報誌
企業によっては、技術成果を公表するために独自の技術情報誌を保有しており、定期的に技術を公開し、なかには特集号を組んで紹介する場合がある。
以下、企業が発刊している「技術情報誌」の概要について紹介する。
これから以下に紹介する「技術情報誌」によって、材料から最終製品への応用までの一連を知ることができるかと思う。
1.NEC技報<NEC>
日本電気(株)は1899年に設立され、設立から3年目に創刊された『日本電気月報』は、総合PR誌として、技術動向を解説するとともに、新技術や商品などを顧客へ広く紹介するものであった。
その後、1924年5月にPR技術誌『日電月報』が創刊された。
太平洋戦争の勃発後、1943年2月にNECは社名を「住友通信工業(株)」に変更し、それに伴い同年『日電月報』は『住友通信機彙報』に、『日本電気研究季報』は『住友通信研究季報』にそれぞれ誌名を変更した。
その後、ますます厳しくなる戦況のなか、両冊子は徐々に発行回数を減らし、やむなく休刊となった。
終戦を迎え、1948年10月、『住友通信機彙報』と『住友通信研究季報』が統合され、現『NEC技報』の通巻第1号となる電気通信総合技術雑誌『NEC』が創刊された。
1972年5月、通巻103号より誌名を『日本電気技報』、1981年4月の通巻139号より、産業エレクトロニクスを主体とする『日本電気技報』と民生エレクトロニクスを主体とする『新日本電気技報』を合併し、現在の誌名である『NEC技報』の名前で、論文をはじめ、技術動向や導入事例などのわかりやすい記事を通して、NECグループの最新技術や、製品、システム・ソリューションなどを紹介している(図1)。
図1 『日本電気月報』(1902年)、『日電月報』(1924年)、『NEC』(1948年)、『NEC技報』(1981年)
(画像は同社ホームページより)
2.日立評論<日立製作所>
日立製作所の創業から8年後の1918(大正7)年に創刊されたもので、日本の製造業では歴史のある定期刊行物で、2018年に創刊100周年を迎えている(図2)。
図2 『日立評論』(1918年)(画像は同社ホームページより)
3.東芝レビュー<東芝>
東芝における技術広報誌の発行は1922年創刊の『芝浦レヴュー』まで遡り、1926年創刊の『マツダ研究時報』や1936年創刊の『無線資料』などを統合し、戦後間もない1946年7月に『東芝レヴュー』の1号が発刊された。
そして、1952年には誌名が『東芝レビュー』になり、以来、東芝グループの最新の技術成果を紹介する論文誌となっている(図3)。
図3 『東芝レヴュー』(1946年)(画像は同社ホームページより)
4.パナソニック技法 パナソニック電工技報<パナソニック>
パナソニックグループの技術論文誌『松下テクニカルジャーナル』は、2008年10月号より『パナソニック技報』に名称変更し、開発者自らが記した技術論文、技術解説を紹介している雑誌で年2回(5月、11月)発行している 1)。
パナソニックに吸収される前の松下電工では「松下電工技報」(後に「パナソニック電工技報」と改称)を発刊していた。
他にもNational Technical Report(後に「松下テクニカルジャーナル」と改称)などが刊行されていた。
現在もパナソニック電工技報のバックナンバーはウェブサイトで閲覧することができる 2)。
1) https://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/ptj/backno.html
2) https://www.panasonic.com/jp/corporate/technology-design/ptj/pew.html
5.三菱電機技報<三菱電機>
三菱電機の研究、技術成果、新製品紹介などを紹介する技術情報誌である。
ウエブサイトでは抄録版を閲覧することができ、「三菱電技報」の原本は、(株)オーム社 直販サービス課から入手が可能である。
http://www.mitsubishielectric.co.jp/corporate/giho/index.html
6.FUJITSU、FUJITSU SCIENTIFIC & TECHNICAL JOURNAL(FSTJ 英文誌)<富士通>
富士通の技術、製品、ソリューションなどを紹介する技術情報誌として雑誌『FUJITSU』があり、隔月に発行されている(図4) 3)。
また、その『FUJITSU』の内容をグローバルに発信する英文技術情報誌として、『FST』が季刊で発行されている 4)。
3)https://www.fujitsu.com/jp/about/businesspolicy/tech/publications/
4)https://www.fujitsu.com/global/about/resources/publications/fstj/
図4 『FUJITSU』
7.シャープ技報(Sharp Technical Journal)<シャープ>
シャープの中央研究所開設時の1962年に『シャープ技報』として創刊され、年2回発行されている。
https://corporate.jp.sharp/corporate/rd/
8.OKIテクニカルレビュー<沖電気工業>
『OKIテクニカルレビュー』は1934年1月、沖電気の技術広報誌『沖電気時報』として創刊された。
第二次世界大戦により中断したものの 1946年に復刊し、1974年に『沖電気研究開発』として、2001年から『OKIテクニカルレビュー』と誌名を変えて今日に至っており、創刊号からの総目次(特集テーマ、記事タイトルなど)を閲覧することができる(図5)。
図5 過去のOKIの技術誌(画像は同社ホームページより)
9.富士電機技報<富士電機>
『富士電機技報』は、富士電機の最新の技術成果を紹介する論文誌である。富士電機創立の翌年の1924年3月1日に創刊した『富士電機時報』の第1巻第1号から最新号まで掲載している(図6)5)。
全文が一括でダウンロードが可能で便利であり、巻末に略語集が掲載されている 6)。
英文版のFuji Electric Reviewは季刊で発刊されている。
5)https://www.fujielectric.co.jp/company/jihou_archives/backnumber.html
6)https://www.fujielectric.co.jp/about/company/contents_02_03.html
図6 富士電機『富士電機時報』の第1巻第1号の誌面(画像は同社ホームページより)
10.明電時報<明電舎>
『明電時報』は、明電グル―プの研究開発・技術・製品を広く紹介する技術論文誌で、季刊で発行されている。
https://www.meidensha.co.jp/rd/rd_01/rd_01_02/
11.技法 安川電機<安川電機>
安川電機の『技法』はネット上での閲覧のみで、資料のダウンロードのサイトはない。
https://www.yaskawa.co.jp/technology/tech_news
12.横河技報<横河電機>
『横河技報』は計測と制御と情報をテーマに、 より豊かな人間社会の実現に貢献するための製品や技術に関する情報を広く発信することを目的として、年2回発行している技術情報誌である。
https://www.yokogawa.co.jp/about/yokogawa/rd/rd_te_report/
13.川崎重工技報<川崎重工>
『川崎重工技報』は、1954年7月に創刊され、"世界の人々の豊かな生活と地球環境の未来に貢献する"川崎重工グループの製品群と、これらを支える様々な先進技術や製品などを紹介するための技術情報誌で、年1回発行している。
https://www.khi.co.jp/rd/magazine/
14.IHI技報<IHI>
1960年に石川島重工業と播磨造船所とが合併して石川島播磨重工業となった。
それを受けて、各社が発行していた『石川島技報』誌と『播磨造船技報』が合体して『石川播磨技報』となった。
その後、2007年に社名がIHIとなったことで『IHI技報』となり、技術を広く社外に紹介する技術論文誌で、年4回 (3、6、9、12月)発行している。
https://www.ihi.co.jp/ihi/technology/review_library/review/
15.東洋電機技報<東洋電機>
1964年6月に創刊され、技術開発情報について紹介する技術情報誌である。
https://www.toyodenki.co.jp/technical-report/gihou.php
- 会社名
- 特定非営利活動法人 日本環境技術推進機構 横浜支部
- 所在地
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