以前紹介したような『調査技法』を使って実際に収集した情報を、ではどのように整理するか、というのは大きなポイントである。情報を収集するにあたっては、人材ネットワークを使って収集したものがあるかもしれない。あるいは、ネット検索で入手したものがあるかもしれない。そして、その情報源が正しいことも、人材ネットワークを駆使して、重要であることが確認されているかもしれない。
業務を円滑に進めるためには、収集した情報を、どう分類し、どのように保存して、どのように活用するかが大事である。ここで出番となるのが『整理技法』である。
今回は『お役立ち情報』の第4弾として、『整理技法とは ?』の、まずは『情報整理の基本と表計算ソフトの活用』について紹介しよう。
1.資料の保存
最初に身近な事例を紹介しよう。私はかつて、実装業界の関連誌、新聞、情報誌、参考図書、学会誌、公開研究会/セミナーの講演テキスト、会社カタログなどが溜まり溜まって増える続ける資料(写真1)を、どのように整理するか、いろいろと方法を模索したものである。
写真1 増え続ける資料
溜まった量を少しでも少なくするために、必要な解説記事のみを残すという方法も検討したし、10年以上前の月刊誌について年末にまとめて処分したこともある。
しかし、せっかく保有していた資料を処分したために後日、参照することができなくなったという苦い経験もした。それ以降は、資料は残すことにしたものの、その結果、毎月、月刊誌が増え、さらに展示会で入手したパンフレットなどの資料も増え、その処理に困るという状況になった。では、資料はどのように保存するか。まずはその基本から紹介しよう。
1.保存の原則
写真2 やさしい情報整理学
集まった資料はただやみくもに保存するのではなく、必要とする資料を分別して、有用な資料だけを残すことが必要である。つまり、書類にも交通整理が必要なのである。
情報の整理について元祖の参考図書となったものがある。『やさしい情報整理学』(社会思想社、1971年初版発行)がそれである(写真2)。
すでに発刊されて40年以上が経過したものの、情報整理の基本について詳細に解説されているため今も得るところの大きい、貴重な参考図書である。この書籍では『情報』の交通整理の重要性を述べている1)。
(1)整理の基本
●必要とする情報の選択(何を残すか)
●どこに保存するか (ファイル、電子媒体)
以上は、一番重要な項目である。将来、使用することを前提に、『何を』『どこに』『どうやって』保存するかがポイントである。
IT機器の進展によりデジタル化し、情報を保存管理することができるようになった現在は、昔と比較すれば、整理環境は劇的に改善されてきたといえる。
前述の本は発刊後、約10年間で33刷にもなった。それはつまり、情報整理に困った多くの人が同書を参考図書として活用したことの反映なのではないかと思う。同書では情報整理に関して7つの条件をあげている1)。
●情報整理の7つの条件
①捨てる・集める
②そろえる
③わける
④ならべる
⑤なれる・続ける
⑥組み立てる
⑦活用する
この7つの条件を念頭におきながら、以下、順番に重要な点を説明していくことにしよう。
(2)センターファイル化
かつて、技術部門に所属して工場に勤務していた時、こんな経験をした。
1年経過すると担当する顧客が変わるのだが、その際に、前任者から、主な顧客に関する資料なども含めて引き継ぎが完全に行える場合と、多忙などの状況によって引き継ぎが不完全なものとなってしまう場合があった。
そして、引き継ぎが不完全なものとなってしまったことで、いろいろな資料が個人ファイルに埋もれてしまい、また、その顧客に対するせっかくの過去の履歴も、担当者が変わることで不鮮明になってしまうのがなんとも惜しかった。
そこで考えたのが、センターファイル化の導入である。顧客別のファイルを作成して、各自が保有している個人ファイルをすべて拠出してもらい、それぞれの顧客の新しい資料が一番上になるように年代順にファイルしたのである。顧客によっては、1冊だけのファイルではなく、数冊になるものもあった。これだけのものが、数人の個人ファイルに埋もれていたのである。集めてみるとこんなに多くなるのか、と、想像もしなかった結果に驚いたものだった。
このようにしてセンターファイルに集めて作成した顧客ファイルを見れば、過去の経緯を理解することができるし、新たに担当することになっても戸惑わない。センターファイル化の重要性を課全体で理解することができ、以降、その便利さを享受した。
さらに、この成功例を参考にして、その後、同業他社のカタログはもちろん、実装業界の材料からプリント配線板設備、実装機などのカタログ、実験・分析装置カタログ、技術分野別特許/文献などのセンターファイル化を推進し、業務活動の向上に役立て、これが間接部門の業務改善へと繋がった。個人ファイルからセンターファイル化して『見える化』したことが改善点となったのである。
- 会社名
- NPO法人 日本環境技術推進機構 横浜支部
- 所在地
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