当社は、基板、実装、電子部品の『分析・故障解析・信頼性試験』を行っている。分析・解析の依頼は100?150件/月あり、その経験と 筆者がはんだ材料の開発で得た知見を加味し、実装不良の原因と対策を紹介することで、読者の参考になればと考えた。
今回は表面実装を中心に実装不良の概要を話し、次回以降、各項目及び不具合の詳細を紹介させていただく。
1.分析、解析内容
当社は、基板メーカーへの技術指導で創業したことから、『改善のための分析と再現実験』を重要視している。また、電子製品に関わる『基板』『実装』『部品』の材料及びプロセス技術者を多く集めており、この点でも特色ある分析会社といえよう。当社の経歴と現状の業務内容を図1に示す。また、当社が2012年に実施した1,400件強の分析内容を図2に記す。
図1 現状の業務と経歴
図2 分析分類
今でも『ごみ、異物』の混入、付着による不具合は多い。この問題を改善するためには、工程内の清掃と混入・付着経路の遮断が重要となる。
まずはじめに、工程を細分化し、おのおので発生するごみ、異物を採取する(図3)。その後、対象物の観察(外観、形状、色)、FT-IR分析、元素分析を実施し、物質と混入経路を特定する(図4)。そして、これらの結果を踏まえ 清掃及びそのやり方を指導、工程改善、歩留まり向上活動を進める。
図3 露光ラインの異物採取
図4 露光ラインの異物分析
今回のシリーズでは、ごみ・異物以外が原因となる実装不良について、表面実装を中心にその要因と対策を記す。
2.保管
製品にとって、部材の保管は重要な項目となる。85℃/85%放置で比較した、Cu板の酸化膜厚とはんだ付け性の関係を図5?図7に示す。OSPの種類で酸化膜及びはんだ付け性に差がある。ただし、室温17ヶ月放置では、OSP1、2とも酸化膜、ぬれ時間がほとんど変化していなかった。このため、30?40℃の現実に起こり得る条件での試験を予定している。また、製品基板を用い、スルーホールへのはんだぬれ上がりやパッドぬれ性を評価指標にすることも必要と考えている。
図5 Cu板の状態(85℃/85%RH放置)
図6 はんだ付け時間の変化(85℃/85%RH)
図7 酸化膜厚の変化(85℃/85%RH)
- 会社名
- (株)クオルテック
- 所在地
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