4.「ムーアの法則」のまとめ
ムーアの法則は、CMOSLSIのパターン微細化によって推進されてきた。現在、3nmノードのCMOSLSIの開発を始めるという情報もあり、最小パターンが6nm程度だと思われる。EUVのDouble PatternまたはTriple Patternを用いることになる。LER(Line Edge Roughness)やAlignment精度が原子の大きさに迫る値になり、このあたりが微細化の限界と思われる。
ダークシリコンといわれる発熱も問題である。今や電源電圧が1V以下になり、この先、0.5V、0.2Vと下げるのは困難になり、比例縮小則が成立せず、消費電力が大きくチップの発熱が大きくなり、これをダークシリコン(Dark Silicon)と呼んでいる。数年前の学会で、チップ温度の将来を予測し、太陽の表面温度になるというレポートが出て大笑いになったそうで、Bright Siliconですね。熱伝導が極端に優れたカーボン系の放熱材を貼り付けるなどの工夫が行われるでしょう。
最近、IMECから微細化は14Å(オングストローム)まで行くと発表されて話題になっている。現在は知られていないまったく新規な技術革新が起って実現するのか、誰にも分らないが、これまでの半導体の歴史は、「これで打ち止め」といってから、それを打ち破る歴史が続いてきたので、可能性がないとはいえない。1nm幅のCNT(Carbon Nano Tube)をMOSのゲートに用いた例があり、実際に1nmのMOSが作られたそうである。
素子のサイズが縮小し、これを1兆個も用いた商品を設計するとなると、複雑性が劇的に増大して、もはや人が設計に介在することは不可能になり、すべて自動化、AI(人工知能)が活躍する分野になるかもしれない。半導体業界は、そのような大変革に対して対応を誤らないように、今から十分準備しておく必要がある。
1工場/1兆円という投資になると考えられ、さらに開発費も年間数千億円にもなると、衆目の見るところ、インテル、サムスン、TSMCの3社以外には先端デバイスを生産できる企業はあり得ない。あるいは数兆円単位の歴史的な統合・買収が進んで、新しい動きが生じるかも知れない。
半導体業界を取り巻く環境としては、AI、IoT、自動運転、ロボット、バイオ・メディカル、社会インフラなど有望な市場がいくらでもあり、これらの市場には最先端の半導体が求められている。ここ10?20年間は、半導体業界は「我が世の春」になるはずで、日本企業も生産力では劣っても、せめてファブレスとして頑張って欲しいものである。
世界はいずれ100億人の人口を抱えるといわれ、都市の人口が爆発的に増えると予測されている。その時、人類は幸せな生活をおくれるだろうか? 環境問題、食料問題、社会インフラなど、解決すべき問題が山積している。この解決には半導体技術が貢献する必要がある。
さて、本年3月から、9回にわたりムーアの法則を取り上げてみました。お付き合いいただき、ありがとうございました。次月からまったく趣向を変えた話題を考えています。
乞う、ご期待。
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